学校ではさまざまな問題行動が生じている.近年,それらに関して認知行動療法は有効だと指摘されてきた.学校には多くの要素が存在するが,その中の一つが教師の存在であり,介入の標的である.ある中学生の場合は,粗暴な行為が発生し,その行為が社会的に強化されたことで,維持されていると考えられた.教師は,彼の学校内での粗暴な行為を過大に評価し,その結果粗暴な行為を抑制しようと多くの罰刺激を使うようになった.その結果さらに生徒の粗暴行為が顕著になったと考えられた.この問題に関して,実際の粗暴行動の頻度を教師に明示することで評価を修正した.教師の評価が修正されたことにより生徒への反応が変化し,結果として生徒の教師への接近行動が増加し,問題は改善された.学校への介入では基本的なデータ収集と機能分析がまず重要である.そのうえで,変化への見通しと動機づけを維持していく必要がある.
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