1990•1991の両年に新潟県中之島町のハス田と同加茂市の小河川でコサギなわばり性と採食行動について調査した.
1)ハス田では移動性の低いドジョウが最も重要な餌だった(湿重量比で80.8%).
2)河川では移動性の低いアメリカザリガニ•ドジョウ(40.0%),移動性の高い遊泳魚(59.5%)とも多く捕食されていて餌の構成が多様だった.
3)採食方法は餌の発見方法(
待ち伏せ
法と歩行法)と捕獲のテクニック(追跡型と非追跡型)の2段階に分け,その組合せによって分類することができた.
4)餌と用いられる採食方法は明確に対応していた.
待ち伏せ
法は,主に大型の遊泳魚と対応していた.歩行法のうち追跡型の方法には中型の遊泳魚が,非追跡型の方法には移動性の低いザリガニ•ドジョウまたは小型の魚類がそれぞれ対応していた.
5)ハス田では,境界が明瞭な採食なわばりが特定の場所で長期に渡って維持されていた.これをハス田タイプのなわばりと呼んだ.
6)河川では,
待ち伏せ
法で採食する個体が自分の周囲のごく狭い範囲から他個体を排除した.河川でのなわばりの範囲は採食個体の移動にともなって移動し,これを河川タイプのなわばりと呼んだ.
7)2つの環境で見られた採食なわばりについて餌および採食環境と関連させて考察した.
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