保険契約者は保険加入に際して何を不安に感じるのかについてweb調査(2014年度実施「第2回自動車保険加入時のリスクの捉え方に関する調査」)に際し,2012年実施の第1回調査の結果の因子分析をもとに,「契約者にとって,加入時に商品内容について十分な説明が受けたいのは確かだが,それはどのようなサービスがあるか,また事故の際に自分が保険金を迅速に入手できるかといった直接的な情報であって,あらゆる情報について時間をかけて伝えてほしいという訳ではない」という仮説を設定した。本論文は,この仮説を検証し,保険募集をめぐる情報提供とそれへの規制の在り方について考察するものである。第2回調査の結果の因子分析で,リスク認知次元として『安心・信頼』,『コスト削減』,『情報探索因子』の3因子構造が抽出されるとともに,上記仮説は強く裏付けられる程ではないものの,完全に否定すべきものでもないという結果となった。この仮説を検証するための分析をさらに重ねる必要があるとともに,契約者に過度の負担をかけずに重要な情報を確実に伝える方法は画一的に示されるものではなく,その結果,そのため規制の在り方も一概には決められないものであることを指摘した。
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