熱平衡にある流体では,波数k
nが小さなモードの時間相関関数U
n(t)は,マルコフな線形発展方程式に従い,指数型減衰となる.しかし,統計的に一様・定常なカオス・乱流では,時間相関関数U_n(t)は,非マルコフな発展方程式に従い,終期レジーム(t>γ
ne-1)では指数型減衰α
neexp(-γ
net)となるが,初期レジーム(t<γ
ne-1)では代数型減衰1/[1+(γ
net)^2]となる.すなわち,カオス・乱流では,時間相関U_n(t)の時間発展は非マルコフとなり,指数型減衰と代数型減衰との2重構造になっているのである.しかも,この2つの減衰形は,それぞれ,指数z=2とz=1の動的スケーリング則に従う.本稿では,これらカオス・乱流の2重構造と動的スケーリング則を,射影演算子法の新しい観点から展望する.
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