【はじめに,目的】
膝前十字靭帯(ACL)再建後に再損傷した症例は,再損傷時に半月板損傷を合併する事も少くない。そこで,初回損傷時と再損傷時の半月板損傷部位や損傷形態に違いがあるのか,またその特徴について調査した。
【方法】
2010年5月から2017年2月に当院にてACL再建術を施行された914例中,再手術した22例(20.4±4.5歳)を対象とした。手術記録より,半月板損傷の有無,損傷部位(内側・外側/前・中・後節),損傷形態,再受傷から再手術までの期間を調査した。
【倫理的配慮】
ヘルシンキ宣言にそって行い,個人情報保護のため得られたデータは匿名化し,個人情報が特定できないよう十分配慮し取り扱った。
【結果】
ACL再損傷時に半月板損傷を合併したのは15例(68%)であった。損傷部位は,初回時は22例中,外側半月板・後節が10例(45%)と多かった。再損傷時は内外側半月板の偏りはみられず,後節が15例中7例(46%)と多かった。初回時と同じ部位を再損傷した例は3例(20%)と少かった。損傷形態は初回時,再損傷時ともに縦断裂が半数を占めた。再受傷から再手術までの期間は,内側半月板を損傷した例は3.8ヵ月,外側半月板は2.6ヵ月であった。
【考察】
ACL再損傷時に合併する半月板損傷は,初回時と比較し内側半月板損傷が多かった。これは,ACL再損傷により脛骨の前方偏移が生じ,膝が不安定な状態で再手術までの期間が長かった為,長期的なストレスが加わったと考える。
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