市立堺病院では, 抗菌薬の適正使用を目的に, 1996年2月より抗菌薬4薬剤を「Infection Control Team (以下ICT) 連絡薬剤」に指定し運用している.メロペネム注, セフェピム注, テイコプラニン注, ムピロシン軟膏の抗菌薬4薬剤については, 医師は予めICTに連絡をとり, 了解を得た後, 処方を行う.
今回我々は, このシステムを医師がどのように評価しているか, また今後の課題は何かを検討するためにアンケートを実施した.対象は当院の医師83名で, アンケート用紙を配布し無記名で回収した.ICT連絡薬剤のシステムについては, 74%の医師が「知っている」と回答した.ICT連絡薬剤の必要性については74%の医師が「必要だと思う」と回答したが, 実際に4薬剤全てを, ICT連絡薬剤であると知っていた医師は30%に過ぎなかった.また23%の医師が「ICT連絡薬剤は処方しづらいと感じたことがある」と回答した.
アンケートの結果からICT連絡薬剤のシステムは定着しつつあるものの, まだ十分には浸透していないと考えられた.また, ICT連絡薬剤の処方頻度は少なく, このシステムが抗菌薬の適正使用に対し効果を持つことが明らかとなったが, 今後はより使用頻度の高い他のカルバペネム系薬剤, バンコマイシン, アルベカシンなどにも範囲を広げる必要があると考える.ICT連絡薬剤のシステムは医師の処方を妨げるものではなく, むしろ抗菌薬の適正使用を支援するシステムであることをアピールする必要がある.
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