当施設にて1969年より1989年まで過去20年間に切除され, 病理組織学的に同一癌組織内に腺癌巣と
扁平上皮癌
巣を認めた21例につき臨床的に検討した.年齢は39才より79才 (平均62.9才), 男性15例, 女性6例で, 術後病理病期III期症例が全体の67%を占め, 術後3生率12%, 5生率6%平均生存月数21.4カ月と不良であった.術前診断は21例中19例で肺癌の診断が得られたが, 組織型の診断では, 腺
扁平上皮癌
と正診されたものは3例 (14%) であった.病理組織像と比較検討すると, 組織学的に優勢な成分との一致率が高く, また
扁平上皮癌
に診断が傾く傾向が認められた.術前に腺
扁平上皮癌
と診断し得た3例は, 経皮針生検または擦過細胞診で腺癌型及び
扁平上皮癌
型の両成分が同時に認められた各1例, および喀疾細胞像と内視鏡生検細胞像とが明らかに異なった組織型を示したもの1例であった.以上より腺
扁平上皮癌
の診断は困難ではあるが種々の組織細胞採取法の併用が望ましく, また経皮針生検は深層細胞の採取が可能なことから組織型診断に有利と考える.腺
扁平上皮癌
は進行期症例が多く, 予後も不良で, 手術適応を考える上でも術前の正確な組織型診断が望まれる.
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