糖尿病を伴った洞不全症候群のペースメーカー植え込み患者においてclass Icの
抗不整脈薬
を投与中に突然死した症例を経験した.症例は38歳の男性,糖尿病性網膜症,腎症の入院治療中に発作性心房細動を併発し,
抗不整脈薬
を静注投与したところ約10秒の洞停止,著明な洞徐脈,意識レベルの低下をきたし入院.Holter心電図記録では繰り返す心房細動と心房細動停止後に約4秒の洞停止を認め,臨床電気生理学的検査ではSRT4,340msecと延長し,洞不全症候群SSS(RubensteinIII型)と診断された.ペースメーカーが植え込まれ(DDI),また経過中に心房細動,心室性期外収縮,非持続性心室頻拍を認めflecainide 200mg/dayが投与されて退院した.退院後,外来受診蒔に動悸症状を強く訴えたことから,flecainideにmetildigoxin 0.1mgを併用したところ,約10日後入浴中に突然死した.ペースメーカーの経過は退院直前から退院後にかけてわずかに心室閾値が上昇していた.本例のような糖尿病などの基礎疾患を伴う症例ではclass Icの
抗不整脈薬
による催不整脈作用のほかにペーシング闘値の上昇をきたし,ペースメーカー不全を生じた可能性も否定できない.基礎疾患を伴う徐脈頻脈症候群の症例におけるペースメーカー治療や
抗不整脈薬
投与には細心の注意を払い,経過を観察する必要がある.
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