研究目的第2報および第4報で吸取ノズルの特性を理論ならびに実験的に考察したが, さらにノズルの周囲から流入する空気を, つばによって床面へ抑制すれば, 吸取性能を向上させることができるので, つば付ノズルの吸取特性を実験的に調べ, また砂粒吸取実験によって, ノズルの形状, つばの長さ, 床面からの高さ, 傾斜角, ノズル内平均風速などの関係を明らかにしようとした.
研究結果1.床面風速の最大値は, ノズルにつばをつけると, つばなしノズルより大きくなり, つばの全体にわたってはほぼ同じ大きさの風速分布を生じて吸取効果は大きくなるが, つばがあまり長くなるとかえって床面風速は低下する.したがってつばの長さは適当に選ぶ必要があり, 特にノズル内平均風速の低い範囲ではつばの長いものほど有利であるとはいえない.
2.つばは多少空気抵抗が大きくなっても, 床面に平行につけるべきであって, つぼを床面に対して開いてつけると吸取性能は急減する.
3.つば付ノズルはつばなしノズルと同じく, 床面に近づけて設けるほど吸取性能は良く, h/2a>2になるとつばの効果はなくなってしまう.h=ノズル高さ, 2a=ノズル巾.
4.平面上に散布した砂粒を, つば付ノズルで吸い取る状況を写真撮影して, じんあいの局部的吸取りに対するノズルの吸取特性を明らかにし, 設計上の参考資料をえた.
5.砂粒吸取写真から吸取面積を計り, この吸取面積とノズル諸要素との問には, つば付ノズル, つばなしノズル共通の次の実験式であらわされる関係があることがわかった.
√S/ (A+F) sinθ/sinα=log√V2a/h+0.02F/A-1.106/0.077√V2a/h
ここにS : 吸取面積 (m2), A : 吸取口の床面への投影面積 (m2), F : つばの床面への投影面積 (m2), θ : 床面に対するノズル傾斜角, α;ノズル先のノズル軸に対する切断角, V : ノズル内平均風速 (m/s), h : ノズル高さ (m), 2a : ノズル由 (m).
6.砂粒の吸取面積は, ノズル内平均風速がある値に達するまでは急増するが, それから後は, あまり増加しないから, この風速をそれ以上大きくしても動力消費が大きくなるだけで, 実用上の経済的風速は上の実験式からつぎのように求められる.
V=h/2ae4.212-0.04F/A m/s
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