日本の高齢化率は25%を超え,超高齢社会となっている.要介護高齢者も増え,患者の健康状態や,置かれている環境も大きく変わってきた.そこで,本稿では最初に,補綴装置と歯の延命に関する因子を概説した.そのなかで,口腔環境関連因子の相互関係を整理し,特に,プラーク,歯石(義歯石含む),義歯床下粘膜の障害,義歯維持力低下,それぞれに関して,その病態と対応策を述べた.最後に,口腔内環境の劣化を押さえるだけではなく,高い質の義歯を作り上げ,患者の環境を最大限に保ち,制限された患者の機能や環境にあわせた工夫をおこなうことで,さらに義歯の機能を高めることができることを提言した.
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