カンキツ類の交雑実生を早期に検定し, 目的とする実生と不必要な実生を選択する方法を確立する目的で, まず予備的に, 既存品種群に対する品種判別式を作成してみた.
1. 品種判別式の指標として, 66種類のカンキツ葉の精油成分, 葉形, 葉縁, 葉先の形, 翼葉の有無および葉形指数を選んだ. そして, 精油成分の分析にはガスクロマトグラフィーを使用し, それぞれ得られたガスクロマトグラムをパターン化すると共に, 形態的な特性もそれぞれのカテゴリーに分類した. また, 外的基準は田中の分類に従って, 1) ザボン区, 2) ダイダイ区, 3) ユズ区, 4) ミカン区, 5) パペダ, ライム, シトロン区の5区に分類した. 以上の指標と外的基準に現象
数量化理論
IIの手法を適用し, 品種判別式を作成して解析した.
2. 今回とりあげた指標によると, 外的基準の分類程度を知る目安となる相関比の値が第1根においては0.862, 第2根では0.806であった.
3. 得られた第1根および第2根を使用して総合数量を求め, それを1次元および2次元に展開した. 第1根を使用して総合数量を求め, 1次元展開した結果によると, ザボン区は1.2~2.6の範囲に, ユズ区は-1.5~-1.3の範囲に, ミカン区は-0.6~0の範囲に, そしてパペダ, ライム, シトロン区は0.7~1.2の範囲の分布として得られた. 次に第1根および第2根を使用してそれぞれの総合数量を求め, それを2次元展開した結果, ユズ区, ミカン区, ダイダイ区は第2象限に, ザボン区, パペダ, ライム, シトロン区は第4象限の範囲の分布として得られれた.
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