本論文では, 随伴性の心理学の観点より,
文化心理学
のパラダイムを理論的に分析し, 文化と文化的行動についての心理学的研究を発展させるための理論的知見, および, 新たなる研究テーマを提出することを目的とする。随伴性の心理学の観点による
文化心理学
的研究への提言として, (1) 心理学的法則 (人間の行動) を形成・維持・変容させる条件づけの手続きは, 文化間で共通である, (2) 文化による心理学的法則の違いが生じるのは, そこで使用される刺激や条件づけられる行動が文化によって違うからである, (3) 心理学の目的は, 心理学的法則の発見のみならず, 法則を形成・維持している手続きを発見することもその目的であり, その観点より, 文化によって, よく使用される手続きの発見も重要である, (4) 手続きに対する解釈の違いは, 文化によって異なっており, そのことから, 手続きの有効性も異なってくることが予測される, (5) 文化を理想化すれば, 文化を実験室で再現でき, 実験室レベルでの
文化心理学
的研究が可能である, という点があげられる。
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