本研究は世界遺産の
斎場御嶽
を対象に日本人および外国人来訪者の特性とスピリチュアリティの関係を明らかにした。
斎場御嶽
は世界遺産登録以降に来訪者が急増し,とくに近年は東アジアからの外国人も訪れるようになった。外国人来訪者の約7割を占める台湾人と韓国人はいずれも来訪後に
斎場御嶽
に関する知識の増加がみられ,なかでも台湾人の増加率が高かった。日本人の多くはスピリチュアルな関心を有していたが,来訪者の中には「巡礼者>ツーリスト」型と「巡礼者<ツーリスト」型の二つのタイプが確認できた。また,
斎場御嶽
に複数回訪れている日本人は前者のタイプと位置づけられるものの,
斎場御嶽
の俗化を度々経験することで後者のタイプに変化する傾向にあることが示唆された。他方で,外国人来訪者とスピリチュアリティの関係については,台湾人の中にスピリチュアルな関心がある者が存在したが,来訪動機との関係から「巡礼者<ツーリスト」型に該当すると考えられた。
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