これまで解析を行ってきた多収性品種の特性の比較の結果を参考にして, 今日広く栽培される
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種と大正・昭和20年代に栽培されていた旧品種の収量, 収穫指数, 乾物生産過程を比較した.
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種の収量は561~606g/m
2で, 旧品種の収量 (460~501g/m
2) に比べ20~25%多く, この相違の要因は主として出穂期以降の乾物生産の違いにあり, その結果
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種の収穫指数 (41~51%) は, 旧品種 (36~45%) に比べ高かった. シンク容量は新・旧品種間で大きな相違はなく,
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種で登熱後期に同化産物が稈に多く再蓄積されているということは,
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種では登熟期の高い物質生産力に比べて, 相対的にシンク容量が不足していることを示している. 新・旧品種における出穂期以降の乾物生産の相違には, 主として登熟期間中の個体群吸光係数が小さいこと, および葉身の老化に伴う光合成速度の減少程度が
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種で小さいことが関係していた. これらの新・旧品種に比較して, 南京11号, 密陽23号はシンク容量が著しく大きく, 収量は
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種に比べ南京11号は2~6%, 密陽23号は12~18%多かった. 以上の結果,
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種では高い乾物生産力に比較してシンク容量が小さく, 稈に同化産物が再蓄積することにより, 収穫指数は低下し始めていることが明らかになった. シンク容量の拡大と乾物生産力の強化を通じて収量・収穫指数はさらに高まることを推察した.
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