本論文の目的は,消費エネルギー削減の機能を持つダブルスキンが,建築ファサードの意匠としてどの様に表出しているかを明らかにすることである。60のダブルスキンをもつ建築事例が,7項目43種類の説明因子のどれに該当するかについて調査した。数量化III類により分析を行い,次の3軸を得た。第1軸は「曲面系-凹凸系」,第2軸は「可動人工系-緑化自然系」,第3軸は「自然的-工業的」と解釈された。サンプルスコアーを用い,階層クラスター分析を行い,10グループにダブルスキンを分類した環境調整手法としてカーテンウォール換気ユニット付きのグループは,平面の連続や曲面の形状であった。可動ルーバーのグループでは,素材としてガラス,金属等を用いた格子性の均一な意匠となった。緑化による環境調整の事例は,独立した1例を除き,ひとつのクラスターを形成した。このように分類したグループは,環境調整手法の種別と対応する場合が多く,グループ内で意匠的特徴も共通したものを有していた。構成要素とともに環境調整の手法が意匠と関連していることが明らかとなった。
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