パラジウムを触媒に用いるハロアレーン(ArX)の還元二量化反応において,還元剤,溶媒,塩基,触媒などの効果について,ヨード-P-キシレン(IPX)を用いて検討した。その結果,還元剤にN
2H
4・H
2O,溶媒にMeOH,塩基にNaOH,触媒にPdCl
2とHgCl
2を用いると2,2',5,5'-テトラメチルビフェニル(TMB)の収率が大きく向上することを見いだした(74%)。HgCl
2,PdCl
2は,反応の開始と同時に還元され,反応終了時にアマルガムとして定量的に回収された。
還元剤にフェニルヒドラジンを用いた場合,生成する全ビフェニル量がヒドラジンを用いた場合にくらべ少ないことから,ヒドラジン誘導体を経由する二量体生成の機構は否定された。また,ヨードベンゼンとヨードメシチレンのクロスカップリング反応におけるカップリング生成物が,ビフェニルと2,4,6-トリメチルビフェニルのみで2,2',4,4',6,6'-ヘキサメチルフェニルを含まなかったとから,[Ar-Pd-I]錯体2分子による反応でなく,[Ar-Pd-I],錯体とAr'Iの厚応によるものと結請した。
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