日本稲, インド稲および
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交雑種合せて49品種を供試し, 窒素施肥に対する生育反応の品種群間の差異を稈伸長, 葉面積増加および穎花数に対する葉面積の相対的増加に着目して解析した. 窒素施肥による稈伸長率, 下位節間伸長率は日本稲が最も大きく,
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交雑種がそれに次ぎ, インド稲半矮性種は明らかに小さかった. また, 単位長当り稈および葉鞘重の減少率は日本稲より
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交雑種, インド稲半矮性種の方が小さかった.
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交雑種, インド稲半矮性種の葉面積/穎花数比は日本稲と比較して明らかに小さかった. しかし, 窒素施肥による, 穎花数に対する葉面積の相対的増加の程度は, 日本稲より
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交雑種, インド稲半矮性種の方が大きい傾向を示した. そこで, 窒素施肥による葉面積増加を解析したところ,
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交雑種, インド稲半矮性種の窒素施肥による個葉面積増加率は, 日本稲より明らかに大きかった. また, これらの品種群の比葉面積は日本稲より大きく, 比較的 "薄い" 葉を持つことが認められた. 以上のことから,
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交雑種, インド稲半矮性種は, 日本稲と比較して, 窒素施肥による稈の形態的変化が小さく, 多窒素条件下での耐倒伏性が大きい一因と推察された. しかし, これらの品種群は, 窒素施肥による個葉面積の増加, 穎花数に対する葉面積の相対的増加の程度が大きく, 窒素施肥によって過繁茂になり易いことが推測された.
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交雑種, インド稲半矮性種を遺伝資源として, 多収品種の育成を目指す場合, これらの点に関する改良が必要と考えられる.
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