城址は文化遺産として重要な価値を持っているが,古い歴史的建造物であるため地震に対しては脆弱で度々損傷し,地域の人々はそれを保存し活用するために定期的な修理と修復を繰り返してきた.特に文化財に指定されている場合,古くから伝わる伝統的な材料や工法で建造することが求められるため,十分な耐震対策が施せない場合が多い.本研究では我が国の天守を有する91城を対象に,天守と石垣の地震被害を評価する手法の検討を目的として,城の構造に関するデータベースを作成し,過去の地震被害事例を調査した.その結果,震度5強以上で天守または石垣に被害が生じ始め,6弱以上でその被害が甚大となることを明らかにした.また,地震動予測結果を用いて被災する危険性の高い城を抽出した.
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