日本にのみ棲息するニホンザルの生態研究の理論を応用して, 人為的に放飼ができることが実験されたことは, 将来各種の野生動物の放飼計画に一つの指針を与えるものと思われる。 野猿公苑あるいは猿島の計画は, サルというものを通じて生態, 社会, 心理学等の領分にまたがつているものであるが,「場」を通じて造園学の一部をなすものであると考える。 もとより, これらの色々の分野を互に切り離して考えずに, サル研究体系の中に造園の正しい位置を見出せるのではなかろうか, という期待に駆られるのである。
抄録全体を表示