固定発生源から排出されるばい煙中のガス状物質で, 大気との混合冷却によって新たに粒子化する凝縮性ダストの実態は, 現在のところ未解明であり, その測定方法も確定された手法はない。現公定法を基にして, 煙道外で採取した試料ガスを希釈空気により冷却する「空気-直接冷却法」, 試料ガスを冷却管により冷却する「水-間接冷却法」の2種類のサンプラを試作し, 実際のばい煙発生施設において, 凝縮性ダストの測定方法について検討を行った。その結果, 以下の知見を得た。
(1) 全ダスト濃度に対する凝縮性ダスト濃度の割合は,「空気-直接冷却法」(
Y) と「水-間接冷却法」(
X) で,
Y=0.930
X-1.623の関係となり,「空気-直接冷却法」より「水-間接冷却法」が高い傾向を示した,この原因として,「空気-直接冷却法」における2形捕集部で用いた3段目のろ紙にも凝縮性ダストが捕集され, 1, 2段目のろ紙に捕集されない凝縮ダストがあること, 他方,「水一間接冷却法」では, 大気中に排出されても粒子化されないガス状物質までも捕集した可能性があることが考えられた。
(2) 高水分量で, かつ排ガス条件が時間的に大きく変動した焼却炉の場合,「空気-直接冷却 」 は, 排ガスの速度と同じ速度で試料採取 (等速吸引) すること, 及び希釈率を一定に保つために必要な希釈空気量の調整が困難となったほか, 2形捕集部のろ紙が湿れて測定を中断せざるを得なくなり, システム改造の必要性が認められた。また,「水-間接冷却法」に比べて測定システムが複雑で大型になり, 現場測定に適した簡便かつ実用的な方法は「水-間接冷却法」であることが示された。
(3)「空気-直接冷却法」と「水-間接冷却法」のいずれの場合も, 試料ガスを強制的に冷却する吸引系を採用しており, 凝縮性ダストの生成は吸引した試料排ガスの冷却温度に依存するため, 冷却温度を一定に保つ温度制御システムが必要となった。
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