【背景と目的】終末期がん患者を看護する看護婦は患者や家族が死を受容する過程において, 身体的・精神的・霊的苦痛の緩和を目標に看護実践をするためにより強いストレスを受けると考えられる.一般病棟と比べ, 緩和ケア病棟に勤務する看護婦は対象の特徴からストレスフルな状況におかれている.そこで, 本研究は緩和ケア病棟に勤務する看護婦のストレスの状態を明らかにすることを目的とした.【対象および方法】対象は国立療養所西群馬病院緩和ケア病棟に勤務している看護婦16名.方法は長谷川和夫によるチェックリストを用いてストレス程度の判定後, 高・低ストレス群の2群に分類し, 作成したストレス43項目の内容について分析した.質問紙は自記式, 無記名にて, 1週間後に病棟婦長を通して回収した.高・低ストレス群の平均値の差を比較し, t検定を実施した.【結果】長谷川チェックリストによる対象のストレス程度はストレス状態でない人(該当数0-2) は6人, 境界を含む軽度のストレス状態の人(該当数3-10) は10人であった.中程度・重度のストレス状態の人(該当数11-20) は0人であった.ストレス状態にない6人はストレスのある10人より経験年数が長く(p<0.04), 年齢が有意に高かった(p<0.04).43項目のうち16人中8人以上がストレスに感じたのは19項目で, 7人以下の人がストレスを感じたのは20項目であった.【結論】緩和ケア病棟に勤務する看護婦16人のうち10人が軽度のストレス状態であった.低ストレス群は臨床経験年数と緩和ケア経験月数とも高ストレス群より有意に長くなっていた.ストレス43項目のうち8人以上が「はい」と答えたのは19項目で, 7人以下の項目は20であった.緩和ケア病棟に勤務する看護婦のストレスマネージメントの必要性が示唆された.
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