JR北海道の旭川駅及び岩見沢駅から見つかった鉛汚染土壌中の鉛を連続分画抽出によってFraction 1~5に分画した後,各分画中の鉛の同位体比を測定した.その結果,
旭川運転所
跡地及び岩見沢駅構内の土壌では,鉛は鉄・マンガン酸化物結合態(Fraction 3)と有機物質との結合態(Fraction 4)の形態で存在する割合が多く,それぞれの分画の鉛同位対比はFraction 1~4とFraction 5で異なっていた.また,旭川駅のFraction 1~4と岩見沢駅のFraction 1~4の鉛同位体比も異なっていた.岩見沢駅の汚染土壌の鉛同位体比は,電車の車軸受けに使われていた鉛とスズの合金であるホワイトメタル(WM)の鉛同位体比と近い値を示した.さらに,岩見沢土壌の鉛とスズの含有比は,WMのものと非常に近く,この場所での鉛の汚染源がWMであることが推定された.一方,旭川土壌ではスズは検出されず,鉛同位対比も異なることから,岩見沢とは異なる汚染源によるものと思われる.
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