この研究の目的は,組織キャンプ体験が大学生の自己効力感と無気力に及ぼす効果を明らかにすることであった.我々は短期大学生の2つのグループ(キャンプ体験群と統制群)の小標本を対象に質問紙調査を行った.キャンプ体験群では35人の学生から有効データを得,有効回答率は100%であった.統制群では60人の学生から有効データを得,有効回答率は48.8%であった.
主な調査結果は以下の通りである.
1)キャンプ体験群の自己効力感得点の平均値は,組織キャンプ体験後に有意に向上(P<0.01)していた.一方,統制群の平均値には有意差は認められなかった.
2)キャンプ体験群の無気力得点の平均値は,キャンプ体験後に有意に低下(P<0.01)しており,特に「自己効力感欠如」,「身体的疲労感」および「無力性」の3つの下位尺度において有意な低下(P<0.05,P<0.01)を示した.一方,統制群の平均値には有意差は認められなかった.
3)自己効力感の向上が著しい学生の無気力の平均値は組織キャンプ体験後に有意に低下(P<0.05)しており,特に,「自己効力感欠如」,「対人的無気力」および「身体的疲労感」の3つの下位尺度の平均値において有意な低下(P<0.05,P<0.01)がみられた.
以上の結果より,大学生の自己効力感と無気力は,組織キャンプを体験することによって改善されることが示唆された.
抄録全体を表示