オキシテトラサイクリンによるハマチのへい死現象に対する抑制効果およびその後の成長経過を明らかにすることを目的とした実験を行い, 次のような結果を得た。
1. 実験期間中の全死亡率は対照群の34.05%に対し, 投与群は9.3%と低く, 投与効果は顕著である。また環境要因に依存した自然死亡率は対照群で9.05%, 投与群3.40%でとなった。
2. 1日当たりの平均死亡率は対照群の0.69%に対し, 投与群は0.16%であった。またへい死率が1%を超す日は対照群で18日を数えたが, 投与群ではなかった。
3. 平均体重の増重傾向を比較すると対照群では当初の5.5gが終了時に155g, 投与群では4.8gが217gに到達しており, 投与群の方がすぐれた経過をたどった。
4. 摂餌量は対照群の570kgに対し, 投与群では1, 045kgを示し, 摂餌機能は投与群の方がすぐれている。しかし摂餌量に対する増重量の割合はそれぞれ38.1%および37.3%を示し, 群による相違はみとめられない。
5. 実験終了時の魚体総重量は対照群の205kgに対し, 投与群は394kgに達した。また期間中のへい死による減耗重量は対照群の23kgに対し, 投与群では約5kgにすぎなかった。
6. 給餌量の内訳をみると対照群では62.5%が給餌作業の際, 海中へ流失する餌料量となり, 魚体が取りこむ量は35%余りと計算され, 投与群では52%弱が流失量で48%弱が魚体への取りこみ量と計算される。
7. 実験開始直後にへい死魚が急増したため, 5日間にわたりオキシテトラサイクリンを経口投与し, 投与によるへい死抑制効果を無投与の対照群と比較した。
効果判定法としてへい死尾数の累積値について回帰分析を試みた。その結果回帰関係から予測されるへい死の総尾数に対し, 投与した場合はへい死数を13%強に抑制でき, 抑制効果を87%と推算した。
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