トルエンガスを生物学的に処理しているdown-flow hanging spongeリアクター内の微生物群集を16S rRNA遺伝子に基づくクローン解析により明らかにした. その結果, リアクターの全ての箇所においてトルエン分解菌として知られている一部の
Pseudomonas属に属する微生物が存在していた. 特に, トルエンガスが供給されているリアクター下部ではトルエン分解菌として考えられる
P.putida F1の近縁種が全体の5%程度を占めていた. 定量Real-time PCR法によるトルエン分解に関与する機能遺伝子の定量の結果,
tmoA遺伝子を標的としたプライマーセットでの抽出DNA当りのコピー数はケーシングの外で一番多く(1.2x10
5copies/ng-DNA),
todC遺伝子を標的としたプライマーセットでの抽出DNA当りのコピー数はスポンジの内部で一番多かった(3.6x10
6copies/ng-DNA). また,
tbmD遺伝子を標的としたプライマーセットでの抽出DNA当りのコピー数はスポンジの場所に依存せず一定量存在していた(平均6.7±10x10
6Copies/ng-DNA). これらの結果から, トルエンガスはスポンジの表面だけで分解されているのではなく, 内部まで浸透し分解されていた可能性が高いことが示唆された.
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