新潟県村上市では2000年から毎年3月に, 旧城下町の旧家が所蔵する雛人形などを町屋の中で公開する「城下町村上・町屋の人形さま巡り」が開催されている。企画・運営は中心市街地の若手住民有志であり, 初回に3万人, 2年目に5万人, そして3年目には7万人と来訪者が増えている。舞台となる中心市街地は, 全国的な中心市街地の動向と同様に地盤沈下しており, その活性化に資することが期待されているが, 一方で, 道路拡幅計画により町屋建築が喪失する危険もあって, 今後とも観光効果が持続するかは不明である。本論では, このイベントによる経済効果についての調査結果を踏まえ, 文化的手段による地域振興の可能性, 課題などについて触れる。
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