本研究では,瀬戸内海における地域の歴史・文化教材の一つである
村上水軍
に科学的な観点を取り入れ,高等学校新科目「理科課題研究」に利用可能な教材開発を行うことを目的とした。船折瀬戸に焦点化し,周辺地域の海底の様子を再現した海底モデルと,流向や流速を体感するための水軍モデルとを作成し,潮流計測を行った。その結果,次の3点が明らかとなった。(1)船折瀬戸付近の潮汐は,約3km離れた周辺エリアよりも速く,約30km離れた来島海峡第2大橋下付近の中水道の潮汐の時刻と似ている傾向にあること,(2)海底モデルの結果から,船折瀬戸付近の潮流は伯方島を回る傾向にあること,(3)日によって潮流の最大速度は異なり,干潮から満潮に近づくとき潮流が速くなる傾向にあることが明らかとなった。
抄録全体を表示