歩行者交通流を適切に管理するためには,歩行者交通流の特性を十分に理解した上で,それに基づく空間デザインが必要である.そこで,本研究では歩行行動への影響要因の一つである背景音に着目した.これまで,音楽のテンポやその情動性が個別の歩行者の歩行行動に及ぼす影響については明らかとされてきたが,相互に影響し合う歩行者群集に対する音楽の影響は明らかではない.そこで,本研究では,複数の背景音下でボトルネックを模擬した通路を歩く実験を行い,背景音が歩行者流のマクロ的特性に及ぼす影響を検証した.実験の結果,i) 陰陽と安心感によって音楽の印象を説明できること,ii) 密度と平均速度の関係図の形状に背景音が影響を及ぼすこと,iii) 背景音の陽の成分が増加すると交通容量が増加する傾向にあること,などが分かった.
抄録全体を表示