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  • ―機能訓練B型の課題―
    *岡田 美由紀
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 192
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    本市では機能訓練B型を介護予防事業として位置付け、市内18地区において高齢者の身体機能維持・向上を目指し、集団体操を中心とした健康教室を実施している。今回、参加者に対し教室に参加しての健康に対する意識及び身体状況の変化についてアンケート調査を実施したので若干の考察を加え報告する。
    【対象と方法】
    平成15年3月時点で、健康教室に参加している者に対してアンケート調査を行い、回答が得られた207名を対象とした。アンケートは無記名方式で、参加期間、参加前の痛みの有無と部位、参加後の痛みの変化、運動する機会の増減、以上の項目について択一方式にて記入し集計した。
    【結果および考察】
    60及び70歳代が全体の86%を占めていた。男女別では女性が全体の85%を占め、男性参加者の拡大が課題となっていた。教室参加前に身体に疼痛が有った者は67%で、部位の内訳は膝54%、腰41%、頸肩腕35%であった。参加後の痛みの変化は「無くなった」11.5%、「軽くなった」64.7%であり、76%の者が痛みが改善されていた。運動する機会の変化については、参加前と比べ70%の者が日常の運動の機会が増えており、教室参加がきっかけにより参加者の健康や運動への意識が高まったと思われる。また、3ヶ所の会場では体操の自主グループも生まれ定期的な教室の開催が住民の自主的な活動につながっていた。参加後の意識や身体機能への効果については「健康への意識が高まった」「身体が軽くなった」等が多く、教室の開催は高齢者の閉じこもり予防や社会性の維持にもつながっていることが伺えた。
    【まとめ】
    1.事業への男性高齢者の参加が今後の課題である。2.専門的なアドバイスと定期的な運動が参加者の痛みを軽減した。3.日常生活での運動の機会が増加した。4.身体機能だけでなく健康に対する意識も高まった。5.健康教室から自主グループが育成された。
    【今後の課題】
    介護予防事業の対象者は日常の活動範囲が狭い者が多く、そのため自宅から徒歩や自転車で通える身近な場所に会場を設置し、利用者の利便性を向上させることが重要である。
     今後、地域の高齢者数等を参考にしながら必要性の高い地区に会場を設置する。地域に専門職が出向き、均質な事業が実施できる環境を整備する。自主グループの育成を勧めていく。参加者の身体機能の変化等を調査し、効果的な事業の実施方法について検討する。以上の項目について検討し、事業に反映させていかなければならない。
  • ―2年間の実施経過より―
    *井口 茂, 小泉 徹児, 松尾 志織, 陣野 紀代美, 道辻 美佐子, 松坂 誠應
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 191
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】介護保険法の施行以来、各在宅サービスは充実しているものの、介護予防の必要性も指摘されている。長崎市においてはH14年度より在宅介護支援センター主催の教室においてPTによる運動指導や健康教育を中心に開催されており、今年度で3カ年を経過する。今回、H14・15年度の経過を紹介するとともに参加者の教室前後の問診、体力測定より転倒骨折予防教室の効果、さらに教室継続の意義について考察したので報告する。
    【転倒・骨折予防教室の実施状況】H14年度は市内4箇所、15年度10箇所にて年12回開催している。内容は健康チェック、PTによる運動指導や健康教育の観点より栄養士、薬剤師による講話を実施し、1回の教室は約2時間で構成されている。また、参加者の評価は問診(老研式活動能力、うつ評価:GDS、転倒恐怖、転倒リスク、転倒状況)と体力テスト(握力、長座位体前屈、片脚起立時間、Functional Reach Test:以下RT、椅子起立時間、Timed Up & Go Test:以下TUG、6m歩行時間)を教室開催前後に実施している。運動指導はストレッチ、筋力増強、歩行運動などで構成した統一したプログラムを約40分間実施している。
    【対象と方法】対象は、2カ年の教室参加者591名、平均年齢は73.8歳である。年度別参加回数は、2カ年平均6.4回であった。分析は2カ年の教室前後の問診、体力評価を対応のないT検定にて比較し、さらに2カ年継続者について一元配置分散分析、FisherのPLSD法、Kruskal-Wallis ANOVA法を用いて検討した。
    【結果】(1)参加者の転倒状況
    過去1年間の転倒経験者は2カ年で150名(30.5%)、転倒回数は平均0.4回で、屋外にて歩行中につまずいた者が最も多かった。
    (2)教室前後の評価項目の比較
     H14年度は問診で有意差はなかったものの、転倒回数の減少がみられた。体力テストでは、RT、椅子起立時間、TUG、6m歩行で有意差がみられた。H15年度は、転倒リスク項目で終了後に有意に高い値を示したが、転倒回数は有意に減少していた。体力テストでは、終了後にRTは減少し、椅子起立時間は有意に速くなっていた。
    (3)2カ年継続者の比較
     H14・15年の継続者において、GDSで低下する傾向が認められた。体力テストでは、握力、長座位体前屈、片脚起立時間で低下、RT、TUGでは上昇、椅子起立時間では各年度の開催前後に上昇する傾向が認められた。
    【考察】長崎市における2年間の教室の効果について、各年度の教室前後の比較から、転倒回数の減少や椅子起立時間、TUGなど下肢機能に関する向上が認められ、教室開催により身体能力の維持・向上に関与できたものと考えられた。しかしながら、2カ年継続者の経過より、低下傾向を示す項目、維持・向上を示す項目がみられ、継続した運動指導及び参加者の身体評価の必要性が示唆された。
  • *日野 真, 財津 菜穂子, 松尾 志織, 秦 直美, 井口 茂
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 768
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】地域型在宅介護支援センターでは、H13年度より介護予防事業の一つとして転倒予防骨折教室を開催している。H14年度より理学療法士も教室の運営スタッフとして参画しており、主に身体機能に関連した運動介入を行っている。しかし、参加者と共に効果のある教室を模索している状況であり、各年度の参加者の特徴をつかんだ上で体操プログラムを考慮するまでには至っていない。そこで今回、各年度の初回の体力測定より新規参加者の特徴を分析し、今後の体操プログラム展開の方向性について検討したので報告する。
    【方法】対象者は長崎市中央部「はつらつサークル」の各年度の新規参加者とし、初回の体力測定を行った。H14年度15名(女性11名、男性4名、年齢71.9±5.7歳)、H15年度20名(女性19名、男性1名、年齢74.6±6.9歳)、H16年度23名(女性22名、男性1名、年齢74.6±5.0歳)とした。教室での運動内容は、ストレッチ・筋力増強を中心とした体操を行った。体操プログラムについては各地区とも転倒教室開催前に会議を行い、統一した負荷強度とした。体力測定は2回目と11回目の2回実施し、測定項目は握力、長座体前屈、開眼片脚立ち保持時間、Functional Reach Test(以下FRT)、椅子からの立ち上がり時間(以下立ち上がり)、Timed Up and Go Test(以下TUG)、6M速歩時間の7項目を行った。統計処理は、各年度の初回体力測定項目について分散分析を行い、各群間の差を求めた。また、改善量の比較を行うため、初回、最終の体力測定を行えなかった者を除外し、H14年度9名、H15年度10名、H16年度14名の体力測定項目を同様の検定を用いて行った。各検定の危険率は5%未満を有意とした。
    【結果および考察】H14年度はFRTより動的な平衡性が低い参加者であった。また、H15年度はTUGと6M歩行時間よりも平衡性、移動能力が低い参加者であった。H16年度の初回測定値はH14年度、H15年度の最終測定値とほぼ同じ成績であり、身体的にレベルの高い参加者が多いことが伺えた。改善量の比較より、H14年度ではFRTの改善量が大きかった。H15年度では、立ち上がりとTUGに改善量が大きかった。これらから、H14年度は立位での動的体操を多く取り入れるプログラム、H15年度では運動に慣らしながら徐々に負荷を上げるプログラム、H16年度は高負荷を与えるようなプログラムと、各年度の特徴に合わせたプログラムの方向性が考えられた。以上の結果より、転倒教室運営にあたり、初期評価時の身体能力水準に合わせた体操プログラムの立案とプログラムの変更、または追加が必要であることが考えられた。
  • *牧 信介
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 767
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     群馬県吉井町では平成15年7月に、高齢者筋力向上トレーニング事業として「生活らくらくクラブ」を発足した。この事業では生活の再構築として、老年期における身体、精神、社会生活機能を維持・改善し日常生活の活動性を高めることを目的としている。今回、当事業の概要及びこれまでの成果を踏まえて理学療法士(以下、PT)としての役割について考察した。
    【対象】
     吉井町在住の65歳以上で一人暮らしをされており、事前のアセスメント調査により当事業への参加が妥当と考えられた42名(男性7名、女性35名)。うち初期と最終時に測定が実施できた25名(男性5名、女性20名、平均年齢76.4±6.2歳)を対象とした。
    【方法】
     膝伸展筋力、握力、片脚立位、前方リーチ、10m最大歩行速度(以下、MWS)、Timed Up and Go Test(以下、TUG)、MOS Short Form 36-Item Health Survey(以下、SF‐36)、を初回(平成15年7月)と最終時(平成16年3月)に測定した。またその関連についてt検定、Wilcoxonの符号付順位検定を用いて分析した。
    【介入】
     訪問調査時のアセスメントと測定の結果から、個々の運動プログラムを作成し、生活との関連、トレーニングの目的を説明。頻度は平成15年7月~平成16年3月に週1回(2時間程度/回)。内容は、集団体操、機能別トレーニング、マシンによる筋力トレーニングを施行。
    【結果】
     膝伸展筋力(p<0.0001)、前方リーチ(p<0.05)、片脚立位(p<0.05)、MWS(p<0.0001)で有意な改善が認められた。SF‐36では初期時に国民標準値と比べ低下していた群において日常役割機能:身体(p<0.01)、全体的健康感(p<0.05)、活力(p<0.05)、日常役割機能:精神(p<0.05)の四項目でそれぞれ有意な改善が認められた。
    【考察】
     高齢者の機能訓練事業において重要なことは、単に身体機能の向上を目的とした、個別のプログラムを立案するのではなく、日常生活への般化、生活の再構築を主体としたプログラムを立てる必要がある。この事業においてPTが介入することで、生活と身体機能とを関連付け、生活に直結したプログラムを作成し実施することができた。またトレーニングが生活にどのように影響するのかを理解することにより、自分自身の目標も明確化され、目標達成へのモチベーションも向上できたのではないかと思われる。今回、参加者の体力向上が得られただけではなく、QOLの指標であるSF-36の向上も認められた。このことから高齢者のQOL向上に向けた当事業にPTが関わることの有効性が示唆された。
    【今後の課題】
     今回は当事業所におけるトレーニングに重点が置かれた。今後は参加者一人ひとりが、自分自身の身体機能と生活との関連を理解し、自己の課題に合わせたトレーニングを自らの生活環境の中で確立し習慣化できるよう援助していく必要があると思われる。
  • *宮地 靖予, 小嶋 裕, 田岡 健, 山下 満衣子, 宇都宮 博史, 宇都宮 秀昭, 戸田 修二, 山内 孝一
    理学療法学Supplement
    2004年 2003 巻 34
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/23
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】高齢者の転倒は骨折や寝たきりの大きな原因であるとともに,転倒後の精神・心理的ストレスとなることが報告されている。本研究の目的は,在宅高齢者の転倒要因,身体・精神機能を評価し,転倒後の精神・心理的な要因,特に転倒予防自己効力感と転倒恐怖(不安)感評価との関連性を検討することである。
    【対象・方法】対象は通所サービスを利用している,痴呆のない屋内歩行可能者44名である。基本属性として,性別は男性10名,女性34名,平均年齢は82.32±7.14歳である。原因疾患は脳血管障害15名,その他29名である。平均BMI値は22.68±4.22である。過去1年間の転倒経験は有22名(50%)である。身体機能評価としては,握力,Timed Up and Go Test(以下,TUG),10m歩行速度,手段的ADL(老研式活動能力指標)などを評価した。精神・心理評価では,Hillらの改訂転倒予防自己効力感(Modified Falls Efficacy Scale,14項目,各項目10点,以下,MFES),うつ評価としてSDS,転倒に対する恐怖(不安)などを評価した。なお,統計処理はt検定,χ2検定及びSpearmanの順位相関を用いた。
    【結果】(1)各評価測定値:平均握力15.1±6.62kg,10m歩行平均速度は21.97±11.89秒,平均TUGは23.33±13.77秒,平均IADLは6.0±3.49点,平均MFESは4.47±2.34点,平均SDSは43.43±11.23点であった。(2)転倒経験と各評価の関連:転倒経験「有り」群は,性別では女性に多い傾向であり,10m歩行速度は有意に遅く,IADL,MFESは有意に低かった。なお,TUGは所要時間が長い傾向,また転倒に対する恐怖心が強い傾向であった。(3)身体・精神的評価の関連:転倒恐怖感「有り」群では,IADL・MFESが有意に低く,外出を控えるものが有意に多かった。転倒不安のため外出を控えるものでは,IADL,MFESが有意に低く,SDSが有意に高かった。また,MFESは握力,10m歩行速度,TUG,IADL,SDSとの相関が認められた。
    【考察】転倒経験者では,転倒恐怖(不安)感がつよく,転倒予防自己効力感が低くなり,「転倒後症候群」という精神・心理的ストレスを引き起こす可能性がある。このことは,活動的な日常生活を維持することを困難にし,高齢期のQOLの維持・向上を阻害する要因となることが推測される。今回用いたMFESは身体機能のみならず,精神・心理的要因とも関連が認められ,転倒後症候群の把握や転倒予防のための評価法としての有益な利用が考えられる。今後,転倒要因の検討や転倒予防に対する取り組みは,身体面だけでなく精神・心理面からのアプローチを併せて実施するなど多面的な介入が不可欠である。
  • *井口 茂, 松坂 誠應, 松尾 志織, 片岡 拓巳, 石丸 将久, 小泉 徹児, 中島 久美, 大久保 央, 池田 章子, 森内 晶子, 塩塚 順, 川副 巧成, 中ノ瀬 八重, 若杉 正樹
    理学療法学Supplement
    2004年 2003 巻 33
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】我々は平成14年度より長崎市在宅介護支援センター主催の転倒・骨折予防教室に参加し、高齢者の健康増進、体力維持を目的に運動指導を行っている。今年度は長崎市全域10箇所で開催され、その効果判定について検討している。今回、平成15年度の教室参加者を対象に転倒経験者の転倒状況や転倒の有無に関連する要因について検討したので報告する。
    【対象】今年度の転倒・骨折予防教室に参加した在宅高齢者351名中、全ての評価項目を実施し得た260名(男性30名、女性260名)を対象とした。平均年齢は73.9±6.2歳であった。
    【方法】評価内容は家族構成や受診、服薬に関する一般状況と転倒の有無及び転倒状況、問診として老研式活動能力指標、転倒恐怖(Falls Efficacy Scale:FES)、抑うつ評価(Geriatric Depression Scale:GDS-15)を用いて調査した。また体力評価はBMI、握力、長座体前屈、開眼片足立ち、リーチテスト(FR)、椅子からの立ち上がり時間、Timed up and go test(TUG)、6m歩行時間の8項目を実施した。統計手法は、各評価項目について転倒の有無別比較をMann-WhitneyのU検定を用い、転倒の有無と各評価項目の関連性についてはカイ二乗検定とロジスティック回帰分析を用いて検討した。
    【結果】1)一般状況:対象者の家族構成は独居93名(35.8%)、夫婦二人暮らし88名(33.8%)であった。受診・服薬状況は60%以上の者が疾患に対する受診を受けていた。2)転倒状況:対象者260名中、過去1年間に転倒した経験のある者は68名(26.2%)で平均年齢74.6歳であった。転倒場所は屋内では居間、居室が8名と最も多く次いで階段7名、玄関5名であった。屋外での転倒場所は平らな道18名と最も多く、坂道14名、階段5名であった。また転倒した理由は歩行中につまずいた者が約30%であった。3)各評価項目における転倒の有無別比較:転倒の有無別比較で有意差が認められた項目は、服薬数、FES、GDS-15であり、体力測定では開眼片足立ち、椅子からの立ち上がり、6m歩行時間であった。4)転倒有無との関連項目:転倒の有無と評価項目との関連は自覚症状の有無がカイ二乗検定で認められた。また、従属変数を転倒の有無としたロジスティック回帰分析においてGDS-15と椅子からの立ち上がりに有意差が認められ、オッズ比はそれぞれ1.18と1.15であった。
    【考察】今回の対象者の転倒状況は、歩行中つまずいた者が多く、転倒要因の環境的要因によるものと思われた。転倒の有無との関連では自覚症状、うつ状態、椅子からの立ち上がりとの間でみられ、疾患の管理や精神的状況、下肢筋力との関係が示唆された。転倒の有無別比較からもそのことが伺われる。今回の対象者における転倒予防、介護予防の目的は疾患及び自覚症状に対する管理や心理的支援、下肢機能の維持が主体的に行われることが重要と思われた。今後、高齢者の健康増進、要介護予防に対する適切な評価項目の検討とその効果について検討していきたい。
  • *井口 茂, 松尾 志織, 江口 真由美, 松山  千草, 當麻  俊久, 川副  巧成, 北村  雅志, 真崎 美都子, 大久保 智子, 陣野 紀代美, 松坂  誠應
    理学療法学Supplement
    2006年 2005 巻 1048
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/29
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高齢者の運動機能向上を目的としたアプローチは,身体機能の評価に基づき,地域での運動教室や教育指導,ホームプログラムの指導等がある.これらは参加者の運動習慣の確立が重要であり,長期的フォローが必要とされている.また,運動プログラムの内容は漸増抵抗運動や筋力とバランスを含む機能的トレーニング,太極拳等が実践され,その効果も検討されている.本研究では虚弱高齢者に対するマシントレーニングの効果を検討するものである.
    【方法】対象は通所サービスを利用している65歳以上の在宅高齢者とした.対象者の条件は寝たきり度JランクからAランク,痴呆自立度正常からIとし,過去2ヶ月間に2週以上の定期的な筋力強化及びバランス運動等を行っている者は除外した.対象の選定は2003年11月~2004年9月の期間で本研究に同意を得た者を介入群及び対照群に登録した.対象者数は無作為化対照試験に準じ68名以上としその結果,介入群89名,対照群87名の登録を得た.比較対象は年齢を考慮し対照群より15例を無作為に削除し,介入群89名,対照群72名を比較対象とした.実施したマシントレーニングは下肢筋の強化を目的にHUR社製及びCompass社製各々3機種を使用した.運動頻度は週2回,3ヶ月間,運動回数10回/setの3set,計30回とした.負荷量はボルグ指数を用い各機器の運動を10回行い,「楽に感じる」負荷量を求め,運動開始2週目以降は「ややきつい」負荷量で実施した.評価項目は転倒に関する評価とADL,心理的評価、体力評価を行った.転倒に関する評価は転倒回数,転倒リスクを調査し,ADLはFIMと老研式活動能力指標を用い,心理的評価はFESとGDS-15を用いた。体力評価は握力,開眼片足立ち,FR-T,椅子起立時間,TUG,6m歩行を実施した.統計手法は両群間の比較を対応のないt検定またはMann-WhitneyのU検定を用い,さらに同一群における初回時と3ヶ月後の比較を対応のあるt検定またはwilcoxonの順位和検定を用いた.
    【結果】リタイアは介入群11名,対照群12名で,それらを除く3ヶ月後の介入群(n=78)と対照群(n=60)の比較は転倒回数と転倒リスクで有意差が認められ,介入群で改善がみられた.GDS-15では対照群が有意に改善していた.体力評価では,椅子起立時間で介入群が有意に改善した.各群の介入前後の比較では,介入群で転倒回数と転倒リスクの有意な減少がみられ,左握力と椅子起立時間,TUGで有意な改善がみられた.対照群では3ヶ月後に転倒回数は有意に減少したが,転倒リスクは増加した.またGDS-15で有意な改善がみられ,体力評価のFR-Tは低下した.
    【考察】今回の結果からマシントレーニングは,虚弱高齢者に対する短期的,集中的なプログラムであり包括的プログラムとの併用により転倒予防の有効な方法に成り得ることが示された.
  • 柔軟性向上運動と機器使用運動の併用
    *堀 秀昭, 藤本 昭, 小林 康孝, 林 正岳
    理学療法学Supplement
    2006年 2005 巻 1047
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/29
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】介護予防事業では、虚弱高齢者を対象に日常生活動作をよりスムーズに行うために包括的トレーニングを行い、筋力、バランス能力の向上を得るものである。しかし運動経験の少ない虚弱高齢者にプログラミングすることは注意を要する。そこで今回3ヶ月間の包括トレーニングを作成するにあたり、柔軟性向上期間(第1クール)と機器使用期間(第2クール)に分けて実施し、包括的トレーニングの効果を判定するために、実施前、第1クール後、第2クール後に、身体機能評価とQOL評価を行いその効果を検討した。【対象】対象は10名(男3名、女7名)平均年齢79.3歳±7.1歳、すべて要支援であった。しかし、転居に伴い男性1名がこの事業に参加できなくなり、合計9名(男2名、女7名)平均年齢78.8歳±7.2歳で実施した。【方法】第1クールは、上下肢体幹の柔軟性向上と足底からの感覚入力目的で関節トレーニング理論を導入したプログラムを実施した。第2クールは、上下肢筋力向上を目的に筋力トレーニング機器の導入を行った。機器は、大腿四頭筋、上腕三頭筋、肩関節屈曲筋群の向上を目的するもので1RMを測定し負荷量を決定した。身体機能評価として10m全力歩行、歩幅、開眼・閉眼片脚立位時間、FR、TUG、握力、右・左膝伸展筋力、長座位体位前屈、QOL評価として老研式活動能力指標とSF36を用いた。包括的トレーニング実施は、第1クール6週間、第2クール6週間とし、週2回、2時間(休憩15分)実施した。【結果】第1クールは対象者9名であったが、第2クールは、腰痛、膝痛より3名が継続不可能となり6名で実施した。第1クール:10m全力歩行(m/分)は、50.8 m/分から61.8 m/分(p<0.01)、歩幅は50.3cmから58.7 cm(p<0.001)、閉眼片脚立ちは1.3秒から3.6秒(p<0.01)、TUGは、18.0秒から14.1秒(p<0.05)と有意に改善した。老研式活動能力指標では、9.8から10.5へと変化した。SF36では、身体機能が24.0から44.0点(p<0.05)、全身的健康感が44.8から54.5点(p<0.05)、心の健康が44.2から55.8点(p<0.05)と有意に改善した。第2クール:有意に改善した項目は見られなかった。【考察】第1クールで身体機能評価及びQOL評価で有意な改善を見た。10m全力歩行は移動能力の総合評価、TUGは瞬発力、機敏動作能力であり、運動導入柔軟性向上運動により、移動能力、瞬発力の改善が認められ、QOLの面でも向上したと思われる。しかし第2クールでは有意に改善した項目はなかった。第1クール終了時点での80m/分以下の虚弱老人及び運動機能評価5点以上の生活機能低下者が7名以上おり、身体機能面でプラトーには達しておらず、機器使用の6週間プログラムでは身体機能に影響を及ぼさないと思われる。また機器使用により腰痛、膝痛を訴えた者もおり、機器使用のみではなく機器を使用しないプログラムを併用して進める必要があると考える。
  • 今枝 秀二郞, 大月 敏雄
    日本建築学会計画系論文集
    2019年 84 巻 759 号 1077-1087
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/30
    ジャーナル フリー

    [Introduction]

     Falls and Injuries are a serious problem in daily life and sometimes cause to death or change in physical condition drastically, however, how and where people fall in residential area such as in the houses or on the roads are unknown. In this study, fall situation and dangerous place in daily life were clarified by analyses Ambulance Dispatch Data in Omuta City.

    [Methods]

     By using Ambulance Dispatch Data of 2016, case of falls were extracted and two analysis were conducted: comparison to public data in Tokyo and detailed analysis of Omuta’s data. In first analysis, public data related to falls of Tokyo Fire Department and fall data in Omuta except for traffic accident and disease were analyzed in order to evaluate data of Omuta. In Omuta data, exact fall cases could be taken after defining fall and using fall models and these were analyzed by each age and medical conditions after falls focus on fall places.

    [Results]

     From first analysis, it was clarified that average age of fall in Omuta was 10 years younger than that in Tokyo and more people in Omuta fell in houses compared with Tokyo. Second, all of data in Omuta was analyzed. The number of targets were 4,769 and that of fall was 1,272. Over half of fall cases happened in houses and 60% of fall in houses happened in living room and bed room. The number of fall cases of people in 55 to 59 years old started to increase sharply and the number of 85 to 89 years old was maximum in fall cases. In fall places, highest average age of people in falls was elderly facilities, followed in order by houses, roads, public facilities and work places. In medical conditions, falls in houses tended to cause serious damage for people, on the other hand, falls on the roads tended to course mild case. There were many fall cases related to toilet and these occupied 17.2% of whole fall cases and 32.3% of falls happened in houses. In fall cases related to toilet, the number of falls in toilet, corridor and bedroom was more than that in other area. Furthermore, by analysis of fall models and places, it was clear that there were many fall cases by stumble and some barrier outside of house in lot, however, there were few cases which people got severe damage by falls outside of site.

    [Conclusion]

     The number of fall cases happened in houses and in living and bed rooms were largest in all cases, in addition to that, the average age of people who fell in houses were higher than that on the roads or in the facilities, so it indicated that fall prevention in houses for the elderly was urgent in the future. Especially in fall cases in houses, falls related to toilet were most important because these falls happened in toilet, on the corridor and in the bed room and tended to get severe damage for people. By using fall models, the number of falls by stumble were large outside of houses in lot, so this results indicated that there were many barriers in the garden, garage, approach to the entrance compared with other areas. On the other hand, the number of falls by external forces were large outside of houses because of traffic accident. In population aging rate, Omuta had already become 20 years future situation of Japan, thus the results of this study would apply to other cities in Japan.

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