ジクワット剤・パラコート剤中毒の予後を推定する目的で, 予後に影響を与える諸因子について検討した. 1987年6月から1994年5月までの7年間に当院で治療したパラコート中毒患者数は34例であった. 34例中9例が救命できたが, 25例は死亡し, その死亡率は73.6%であった. パラコートジクロリドを24%含有する製剤にして10m
l以上の多量服薬例, 尿中パラコート定性強陽性例, あるいは来院後早期に血圧低下がみられた症例の予後は特に不良であった. また, これら3所見のうち2所見以上を有するものの予後は極めて不良で, 17例全例が死亡した. 現時点では, 血中パラコート濃度からその予後を推定するのが最も妥当とされる. しかし, 血中濃度が測定できない場合, あるいは服薬後時間がわからない場合でも, 本人あるいは家人から聞き出した服薬量, 尿中パラコート定性結果および血圧の推移から, 予後推測は可能であると考えられた.
抄録全体を表示