耳鼻咽喉科領域感染症72例を対象にCS-807の臨床効果を検討した。
1) 主としてCS-807100mg錠を1日2回3~14日間経口投与した。その結果疾患別有効率は急性中耳炎100%(5/5), 慢性中耳炎急性増悪64%(7/11), 慢性中耳炎57%(4/7), 急性副鼻腔炎88%(7/8), 慢性副鼻腔炎急性増悪75%(3/4), 慢性副鼻腔炎50%(4/8), 急性扁桃炎100%(14/14), 慢性扁桃炎急1生増悪100%(3/3), その他の疾患82%(9/11) であった。
2) 検出菌の抗菌作用から本剤がグラム陽性菌, 陰性菌に広範囲な抗菌スペクトルを有することが臨床的に証明された。
3) 特に S. aureus に対しては, 除菌率が82%(14/17) と高く, MIC値からみてほぼ同等と思われる他の経口用セフェム剤に比べても優れていた。
4) 副作用としては, 胃部不快感を示したもの1例, 嘔気1例軟便1例, 下痢1例, 腹部膨満感・嘔気・軟便が1例見られた。臨床検査値異常は, 好酸球増多が3例, LDHの上昇1例, GOT・GPT・LDHの上昇が1例で認められたが, いずれも軽度であった。
5) 以上の成績からCS-807は耳鼻卿侯科領域感染症に対して有用な抗生剤と考えられた。
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