本論では,描画活動に躓きや消極性を見せている子どもに対する具体的援助の方策を模索するために,保育園の4歳児学級に在籍する子ども8名を対象に,模写的活動「まねっこお絵描き」を実践して,保育者の援助が,子どもの描画表現に与える効果を検討した。題材モデルの提示と保育者の言葉掛けの有無の条件を変え4回実践を行った結果,第4回で実践した「描画モデル有・言葉掛け有」の条件下で,描画意欲及び描画能力の向上が最も確認された。また,描画モデルを提示したことで個性的な表現の芽生えを確認でき,描画モデルの提示が,子どもが描画活動において豊かな表現を獲得する契機になることが示唆された。さらに,本論で扱った模写的活動「まねっこお絵描き」の教育的可能性を吟味した上で,子どものイメージを引き出すには保育者の言葉掛けが不可欠であることが示された。
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