寛永三年版『保元物語』『平治物語』は絵入り写本制作に利用された可能性があるなど、影響力をもった本であった。寛永版は挿絵を効率的に制作するためか、定型化された絵が多く用いられた。定型的な絵が連続することで、読者にはある読みの方向性が示されることとなる。近世前期の『保元』『平治』の受容の状況を鑑みると、挿絵からこれらの乱を経て武士達が立場の上昇を読み取れると考えた。なお、今回は『保元』を中心に論じた。
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