植物成分を原料にした生分解性鉢を用いて, 異なる灌水頻度でトマトを育苗し, ポリエチレン鉢 (ポリ鉢) を対照として, 定植までの苗の生育と養分含有率について調査した. ポリ鉢と比較して, 生分解性鉢での苗の生育は, 草丈, 根長, 葉数, 葉面積および乾物重のいずれの項目でも低い値を示した. 各養分含有率は, パーム鉢でのリンを除いて, いずれの鉢でも類似した値を示した. このことから生育量の差異は, 養分吸収能の差に起因するものではないと考えられた. コーン鉢では, 灌水量を増加することで苗の生育が改善されたが, ポリ鉢の生育よりは劣っていた. このことから, 生分解性鉢での育苗では, 灌水量以外にも生育を阻害する要因が存在することが示唆された.
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