本研究は、音楽イベントの1つであるDJイベントにおける、Disk Jockey（以下DJ）、Video Jockey（以下VJ）、観客の3者間の関係性の改善、及び観客同士のコミュニケーション形成の促進を目的とするフロアマット型の観客参加型映像演出システムの研究である。調査より、DJの文化が広く認知される一方で、新規観客がDJイベントへの参加を躊躇していることが分かった。したがって、DJ、VJ、観客の3者間の関係性に着目し、従来の一方向的な関係性を相互的なものへと改善し、観客同士のコミュニケーション形成を促進することをコンセプトとして進めた。提案プロトタイプでは、内部に圧力センサを搭載し、観客がプロトタイプの上に乗り降りすると接触を検知し、検知情報を基にVJが作成した映像データに反映され、出力された映像が連動して変化する。評価実験より、プロトタイプの利用による映像演出の参加が、観客の能動的、且つ積極的なDJイベントへの参加や観客同士のコミュニケーションのきっかけを与えることが示されたが、圧力センサの接触検知が単純であるという改善点が明らかになった。圧力センサの接触検知を複雑化することで、更なるコミュニケーション形成の促進が期待できると考える。
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