本研究では,凝集剤の塩基度,凝集剤中の硫酸およびアルミニウム形態がウイルスの処理性に与える影響を詳細に評価し,ウイルス処理に有効な新規アルミニウム系凝集剤を開発した.開発した新規凝集剤を凝集沈澱処理に用いた場合,弱酸性および中性のpH領域のみならず,弱アルカリ性のpH領域においても,約6 logの高い除去率が得られ,従来のアルミニウム系凝集剤を用いた場合に比べ,除去率が飛躍的に向上した.また,ESI-FT-MS法および
27Al-NMR法による分析の結果,新規凝集剤には,アルミニウム13量体や30量体が含まれていることが明らかとなったことから,これらのアルミニウム種がウイルスの処理性の向上に大きく影響している可能性が示唆された.
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