一九七〇年代後半の文芸雑誌には、新たな書き手の登場を促進するため、数多くの新人賞が設けられていた。村上春樹も一九七九年に群像新人文学賞を受賞することにより新人作家としてデビューするが、アメリカ文学の影響を受けたとされる彼の存在は、当時の文芸雑誌の新人作家たちが置かれていた状況のなかでどのような位置にあったのかを検証する。さらに村上春樹の初期短編が、彼自身の文学の〈居場所〉の問題を含んでいたことを明らかにする。
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