電気通信事業法は、平成二七年(2015年)に、昭和六〇年(1985年)に制定されてから30年の節目の年を迎える。三〇年を一世代とすれば、同法はまさに次の世代に受け継がれる時期に至ったこととなる。
電気通信事業法は、制定後約三〇回にわたる改正を経ており、内容を大きく変更し、拡充してきている。そこで、本稿では、節目の年を目前に控えて、同法の成立が歴史的事実へと移行する一方で、その過程に関する記憶と記録が次第に薄れて行くことを考えれば、同法の制定を巡る政策的諸課題を先達がどのように解決しようとしたかを学問の対象として明確に捕捉する時期は今しかないことを確信し、その手法としては、制定過程を丹念に文献から追っていくことが最適であると考えた。この作業を通じて、電気通信事業法制の今後を展望したい。
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