東アジアにおける「植民地責任」を考えるに際して、中国・台湾政治外交史の観点に立てばいくつかの留意点がある。それは、まず歴史家の役割、各国内の歴史政策や
歴史認識
問題のありよう、分断国家や権威主義体制の存在などの東アジアの冷戦の特質と
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問題形成との関係性だ。また、日本の戦後知識人の
歴史認識
問題への取り組み、とりわけ台湾の忘却といった問題、帝国の学知の継承と忘却の問題もある。そして、和解や移行期正義などの
歴史認識
問題をめぐる世界的な標準とされるものがこの東アジアでも受容されていることだ。
歴史認識
問題は不断に継続していくが、歴史学としてもこれまでの歩みを批判的に検討し、歴史学ができうる貢献を構想すべきだと考える。
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