競走馬の基礎体力の向上ならびに四肢疾患馬の機能回復の一助として,swimming poolによる
水泳
調教を導入するため,
水泳
運動が馬体におよぼす影響,考案した処方による
水泳
調教の効果,ならびに長時間
水泳
の安全性と持久性について検討した。すなわち,実験馬( Thoroughbred )4頭を用い,(1)5分,10分,20分の
水泳
運動,(2)4週間にわたり5分,10分,15分,20分と1週につき5分ずつ増加させる処方による
水泳
調教,および(3)60分間にわたる連続
水泳
運動という3種類の実験を行なった。本実験において,一般所見ならびに生理学的および血液学的所見について観察したところ,次のような成績が得られた。1. 被検馬は
水泳
馴致により容易に泳法を習得し,20分の
水泳
運動に耐え,
水泳
調教後には60分の長時間
水泳
を完泳した。2.
水泳運動は水泳
中の心拍数,
水泳
終了後のPCVなどの変動から,走運動における速い速歩から遅い駆歩という比較的軽度の運動に相当した。3.
水泳
運動は乳酸産生が少なく,むしろ有気的運動とみなされる。しかし血糖値の減少は走運動と比較してかなり大きく,したがって末稍組織における強いエネルギー要求が推測された。これらのことから,
水泳
運動時のエネルギー代謝は,走運動のそれとはかなり異っていることが示唆された。4.
水泳
調教の効果は,心拍数の
水泳中の減少および水泳
後の回復の促進,馬体の外貌上の変化などから観察された。また血液学的所見からも推察された。5.60分間の長時間
水泳を完泳できたことは水泳
調教により,持久性が獲得されたものと考えられる。6. 以上の成績から,
水泳
調教は基礎体力の向上ならびに四肢疾患などの機能回復のための調教として適当なものであると考えられる。
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