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クエリ検索: "氷河融解"
162件中 1-20の結果を表示しています
  • 田上 雅浩, 渡部 哲史, 恒川 貴弘, 花崎 直太, 平林 由希子
    土木学会論文集B1(水工学)
    2015年 71 巻 4 号 I_451-I_456
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    Meltwater from mountain glacier and ice cap plays an important role for freshwater resources in lowlands of river basins. However their impacts on water availability have not yet been explicitly taken into account in published global water resources assessments. Therefore, we investigated the contribution of glacier meltwater to total water availability on a global-scale by combining a global hydrological model and a global glacier model. The maximum monthly percentage of glacier meltwater to river flow was above 90% in the Tarim and the Aral basins. In the neighboring countries of these basins, the contribution of glacier meltwater withdrawal to total water withdrawal was high in summer, especially on Kyrgyzstan (51.6%) and Afghanistan (26.2%). Annual glacier meltwater withdrawal from river flow in Kyrgyzstan and Afghanistan was approximately 0.460 and 0.226 km3, respectively. It was approximately 2.02% and 8.86% of the storage capacity of large-reservoirs in Kyrgyzstan and Afghanistan, respectively. We provided a new framework of water availability assessment including the effect of glacier meltwater.
  • 渡辺 恵, Sujan KOIRALA, 平林 由希子, 鼎 信次郎
    土木学会論文集B1(水工学)
    2015年 71 巻 4 号 I_445-I_450
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    It is unclear glacier melt response (e.g., the magnitude and timing of changes in glacier melt) and the extent of contribution of glacier melts towards river flow in the context of climate change for major river basins originating in High Mountain Asia. Here we evaluate glacier melt response to climate change at major river basin scale for 11 basins using glacier melts estimated by a glacier model. Furthermore, we attempt to add the runoff outputs of climate models with the glacier melts into a "total runoff" to reveal the hydrological impact of the glacier melts. Our simulation implied that the glacier melt response of climate change is regionally different. However, the annual total runoff would increase caused by primarily an increase in non-glacier melt components across 11 basins until the end of 21st century. The relative contribution of glacier melts to the total runoff would significantly decrease towards the end of 21st century in some basins and it might have implications on seasonal water supplies.
  • 舩木 翔太, 朝岡 良浩, 木内 豪
    土木学会論文集G(環境)
    2016年 72 巻 5 号 I_45-I_51
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
     氷河の融解水を水資源として利用するボリビア多民族国は,氷河縮小によって水資源管理の見直しに迫られている.本研究はボリビア国のトゥニ貯水池を対象として,
    氷河融解
    ・流出モデルを適用して,氷河縮小が流出量に及ぼす影響を解析した.氷河域はLandsat衛星の画像を用いて1987年から2014年の変化を抽出した.その結果,トゥニ貯水池集水域の氷河面積は対象期間に8.7km2から4.9km2に減少,氷河面積の変化に対して年間流出量は約40%減少する.流出量に対する
    氷河融解
    水の寄与率は雨季の前半(9月から12月)に集中する.氷河面積の減少によって寄与率は42%から4.5%に減少する.
    氷河融解
    による流出量は氷河面積と線形関係にあり,特に消耗域の変動が影響を及ぼすと考察した.
  • 渡辺 恵, 柳川 亜季, 平林 由希子, 渡部 哲史, 坂井 亜規子, 鼎 信次郎
    土木学会論文集B1(水工学)
    2018年 74 巻 4 号 I_211-I_216
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/30
    ジャーナル フリー
     気象外力は,氷河モデルを用いた
    氷河融解
    予測の不確実性の一因であるが,その影響についてこれまで統合的に評価されていない.気象外力の不確実性が
    氷河融解
    予測へ及ぼす影響を評価するため,気象観測の乏しいアジア高山域の氷河を対象とし,氷河モデルのキャリブレーション方法を改良した.21世紀中盤では,氷河モデルキャリブレーションとGCMのバイアス補正に用いる降水量データの選択による
    氷河融解
    量の違いは,GCM間のばらつきによる
    氷河融解
    量の違いと同程度になることが分かった.また,これまでGCM出力の気温のばらつきは,GCM出力の降水量のばらつきよりも小さいと想定されていた.しかしながら,GCM出力の気温のばらつきに起因する
    氷河融解
    量の違いは,GCM出力の降水量のばらつきに起因するものよりも大きくなる場合が多いことが示された.
  • 白鳥 総一朗, 真野 明, 呉 修一, 有働 恵子
    土木学会論文集B1(水工学)
    2014年 70 巻 4 号 I_421-I_426
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    Nowadays, global warming has been a hot issue. Melt water from tropical glaciers in the Andes is used as important water resources and retreat of the glaciers raises risk on the water availability in the future. Therefore water resources management is necessary, and it is important to investigate water balance in the snow-fed and glacier-fed basins in order to understand how much water is coming from snow and glaciers. This study challenges this issue, and the main purpose of the present study is to estimate glacier melt water in Tuni Lake basin, Bolivia which supplies water to the capital area. Because study area is located in high altitude, we could use limited data. From this point the degree-day method may be suitable for estimation of the glacier melt water. However, we need to determine degree day factor in the method. Therefore, we estimated the glacier melt water first by using a water balance method in order to determine degree day factor in the target basin.
  • *朝日 克彦
    日本地理学会発表要旨集
    2016年 2016s 巻 S1202
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/08
    会議録・要旨集 フリー
    1.はじめに コモンズとしての氷河の利用は多方面に及ぶ.氷河そのものがツーリズムのデスティネーションであり,アルプスや南米では氷河が世界自然遺産に登録されている.アルプスではスキーのフィールドでもある.氷河の融け水は急峻な山地の源流の水として,規模の大小を問わず水力発電に利用されている.一方ヒマラヤの氷河はとりわけ急峻な山地を起源とし,氷河の下半分は大量の岩屑(デブリ)に覆われており,アルプスなどの典型的な氷河景観とは異なる様相にある.ツーリズムの対象たり得ているとはいい難い.また水力発電も開発の余地が大いに残されている.   2.
    氷河融解
    水の灌漑利用 氷河の利用にあっては,
    氷河融解
    水の農業利用という側面もある.カラコルム(パキスタン)やチベット,ネパール中北部のムスタン地方では,
    氷河融解
    水を灌漑設備を通して農地に引水している.これらは年降水量が250mmを切る非常に乾燥した地域であり,農業には灌漑が必須である.とりわけカラコルムでは雨季は冬季であり,乾燥した夏季には氷河の融解水が農業に不可欠な存在である(例えば,Kreutzmann, 2000; Mayer et al., 2010).氷河の融解水は「グレーシャーミルク」と呼ばれるほど濃く白濁している.これは氷河が破砕した岩石を融解水が大量に含んでいるからである.したがって単純に
    氷河融解
    水を農地に散水すると,有機物を含まない大量の粘土で畑表面を覆うことになり,農業利用ができなくなる.またそもそも水温が低く,利水するに相応しくない.そこで,数キロに及ぶ長い灌漑水路で加温し,さらに多数のピット(水溜)を設置して,
    氷河融解
    水の懸濁物質を沈殿させる特殊な設備を備えている(図1).   3.ネパール東部での
    氷河融解
    水の利用 上述の地域とは対照的に,エベレスト山を源流とするネパール東部,クンブ地方では
    氷河融解
    水を利用した灌漑設備は皆無である.そもそもネパール東部は夏季モンスーンにより降水量が多く,農業高距限界(4300m)付近でも500mm以上の年降水量があり,じゃがいもやオオムギの栽培は天水で十分にまかなえるからである.また乾季は気温が十分に低く,氷河が融解しないので氷河からの融解水の供給はない.Fürer‐Haimendorf (1964)では当該域のオオムギ畑で灌漑を利用した農業が行われているとの報告があるが,
    氷河融解
    水ではなく湧水起源であろう.「乾期こそ
    氷河融解
    水に依存する」という言説は乾燥地にこそあてはまる事象である. 灌漑が高度に発達したヒマラヤ山麓ではどうか.河川は氷河起源とされる.しかし流域面積に占める氷河の割合は5%程度しかない.ガンジス水系で
    氷河融解
    水の占める割合は3%程度との水文モデル計算もある(Miller, 2012).河川の最源流域が氷河であったとしても,それをもって河系全体が「氷河起源」にはあたらない. このように,降水量の多寡(図2)を背景として,ヒマラヤの東西で
    氷河融解
    水の利水状況は大きく異なる.したがって,ヒマラヤを大観して「
    氷河融解
    水に依存している」とするのは誤りといえよう.

  • *渡辺 恵, Koirala Sujan, 平林 由希子, 鼎 信次郎
    水文・水資源学会研究発表会要旨集
    2014年 27 巻
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    温暖化が進行すると,南アジアや東アジアの主要流域では,一般的には,年平均河川流出量は増加することが予測されている.一方で,インダス川やガンジス川,長江,黄河などのアジアの主要河川の起源であるアジア高山域の氷河の消失は,かつてない規模で進行しており,21世紀を通して加速すると予測されている.しかしながら,現在の気候モデルの陸面過程は,大陸氷床以外の陸上の氷河の涵養と融解は陽に考慮されていないため,氷河の融解水を加味した淡水資源の将来予測は,氷河からの融解水が卓越している上流の氷河支流域毎に個別に行われて来た.本研究では,アジア高山域の氷河を起源とする河川の流域スケールを対象として,氷河変動が淡水資源に及ぼす将来影響の定量化を行う.上流の氷河支流域からの流出量変化と下流の氷河以外の要素に起因する流出量変化のバランスを見るために,双方を合わせた流域全体における水収支を評価する点が特徴である.また,全球で適用が可能な氷河モデルを用いることにより,既存研究でも対象とされてきたモンスーンの卓越する流域などに加えて,降水特性の異なる流域や,より
    氷河融解
    水への依存度の高い流域などを加えた全11流域(インダス,ガンジス,ブラマプトラ,長江,黄河,タリム,アムダリア,シルダリア,イラワジ,サルウィン,メコン)に対象を拡大したことも発展的と言える.氷河モデルのシミュレーション結果である
    氷河融解
    量と,GCMのシミュレーション結果の河川流出量を組み合わせる.
    氷河融解
    の淡水資源への影響として,
    氷河融解
    量と河川流出量を足し合わせた総流出量と,総流出量に占める
    氷河融解
    量の割合である氷河寄与率の将来変化をもとめる.尚,最も温暖化が進んだ将来を想定するため,将来期間(2006-2099)では,RCP8.5の気候シナリオに基づいてシミュレーションを行う.用いるGCMは,CMIP5に提出された,最新の6つGCMの平均値を利用する.シミュレーションの結果,以下の知見が得られた.(1)
    氷河融解
    量と河川流出量を足し合わせた,流域全体からの総流出量は,対象の全11流域で,将来増加することが予測された.(2)モンスーンの卓越する湿潤な流域のみ限らず,乾燥地域を含む流域や,氷河依存度の高い流域でも,総流出量は増加する.(3)総流出量は将来増加することが予測されたが,
    氷河融解
    の進行が早い流域,氷河依存度の高い流域などでは,氷河寄与率の減少は将来深刻化することが示唆された.
  • *森田 俊一, 知北 和久
    日本陸水学会 講演要旨集
    2005年 69 巻 P37
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/21
    会議録・要旨集 フリー
    アラスカ州タナナ川はユーコン川の支流で、流域源頭部に氷河流域を持つ亜寒帯地域の氷河性河川である。
    氷河融解
    期におけるタナナ川の堆積物は、主に
    氷河融解
    からの土砂流出によってもたらされる。本研究では、タナナ川において2002年・2003年
    氷河融解
    期に得た濁度・水温データと、米国地質調査所(USGS)の水位・流量データ、NOAAの気象データとを用いて、土砂流出特性と気象条件との関係を明らかにする。また、タンクモデルによって流出の成分分離を行い、氷河流域と永久凍土流域からの寄与について議論する。
  • *紺屋 恵子
    雪氷研究大会講演要旨集
    2014年 2014 巻 P2-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/16
    会議録・要旨集 フリー
  • *中塚 武, 大西 啓子, 坂井 亜規子, 小林 修, 張 斉兵
    日本地球化学会年会要旨集
    2005年 52 巻 2P37
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    地球温暖化などに伴う山岳氷河の融解量の経年変化の実態を復元・解析するため、中国甘粛省の七一氷河の末端の河川敷に生息する樹木(Caragana microphylla Lam.)の数個体から年輪円盤を採取し、年輪を1年刻みで分割してセルロースを抽出し、その酸素・水素・炭素同位体比を分析した。また比較のため、氷河の影響を受けない近傍の河川からも同樹種を数個体採取して、同じ分析を行った。気象観測データとの相関解析から、酸素同位体比は主に夏季の相対湿度と土壌水の同位体比に、炭素同位体比は主に水利用効率、つまり土壌水分量の影響を受けて変化することが分かった。炭素同位体比の経年変動パターンの2地点間での比較などから、同氷河は近年の温暖化に伴い、その融解量が継続的に増加し続けている可能性が示唆された。
  • *佐々木 織江, 藤田 耕史, 平林 由希子, 鼎 信次郎
    水文・水資源学会研究発表会要旨集
    2019年 32 巻
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/07
    会議録・要旨集 フリー

    氷河からの流出水は下流地域において重要な水資源の一つである.しかしながら,気候変動に伴う氷河の急激な縮退により,流出量は一時的に増加し,その後,氷河体積が十分に小さくなるとこで減少に転じると言われている.流域水資源への影響を予測するために,これまでにも広域氷河モデルによる氷河の融解予測がされてきたが,そのほとんどは積算気温法と呼ばれる簡易的な融解計算によるものであった.特に,広域かつ氷河個々の質量収支を計算できるモデルについては,全てが積算気温法によるものである.しかしながら近年,積算気温法による

    氷河融解
    計算は,気温上昇に対して過敏であり,気候変動化では
    氷河融解
    量を過大評価するという可能性が指摘されている.そこで本研究では,熱収支式による広域氷河モデルを構築し,中央ヨーロッパを対象として氷河の体積及び流出量の将来変化を計算した.シミュレーション期間は1958年から2100年までの142年間である.結果として,中央ヨーロッパにおいて,氷河からの流出量は1980年頃から上昇をはじめ,2007年にピークをむかえ,その後2100年まで減少を続けると予測された.また,氷河からの流出量を構成する要素のうち,
    氷河融解
    水の割合が減少し,積雪融解水の割合が増加することが示された.流出量の主な構成要素が
    氷河融解
    水から積雪融解水へと変化することにより,流出が最大となる月が7月から6月へと変化した.これは,通常積雪の方が氷河よりも早く融解することに起因する.また,8月の流出量はRCP8.5において2100年までに2010年と比較して-50%という大きな減少率を示した.この減少率は積算気温法による先行研究で示された値よりも小さく,積算気温法が熱収支法よりも気候変動に敏感であることが確認された.このように,熱収支法による
    氷河融解
    の広域計算は,氷河流出量の将来変化や不確実性の幅を考える上で重要な比較材料であり,また,氷河の広域モデリングの発展という面においても重要なステップである.

  • 平岡 ちひろ, 田中 賢治, 田中 茂信
    土木学会論文集B1(水工学)
    2018年 74 巻 5 号 I_307-I_312
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/05
    ジャーナル フリー

     土地の大部分が乾燥気候である中央アジアでは,水利用を上流部の山岳からの

    氷河融解
    水に依存して生活している.いつ, どれだけの水が利用可能かを知るには,年間の水・熱収支の把握だけでなく,その季節性の再現が必要である.既存の陸面過程モデルSiBUCでは
    氷河融解
    のピークが実測より数ヶ月早期評価される等,雪氷の融解時期の正確性において改善の余地がある.本研究はSiBUCへの入力データのひとつである気温の算出方法に注目し,気温が雪氷の融解に及ぼす影響を分析することを目的としている.解析は陸面過程モデルSiBUCを用いて行い, 入力データは再解析データJRA55とキルギスの氷河観測地点の観測データを使用した.その結果,気温と短波放射・長波放射が雪氷の融解に大きく関わるほか,特に短波放射はJRA55と実測データ間で乖離が大きいことが明らかになった.

  • *宮田 俊介
    水文・水資源学会研究発表会要旨集
    2012年 25 巻 P47
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    気候変動によりアンデス山脈にある熱帯氷河の融解が加速してきており,気候変動に伴う
    氷河融解
    の将来予測は重要な課題である.
    氷河融解
    過程において,雪と氷の物性は大きく異なる.例えば,積雪のアルベドは氷河より大きい値をとり,変動も大きい.積雪層の熱伝導率は氷河と比較して小さい値をとる.特に,0℃付近で降水が発生するアンデスの熱帯氷河では雪と氷の物性を反映させてモデル化する必要がある.本研究では,積雪過程を取り扱う一次元多層積雪モデルを拡張して,積雪・氷河を同時に取り扱うモデルの開発を目的としている.   本研究は北海道に比べて温暖な積雪域である新潟県十日町において,モデルの検証を行った.その結果,積雪密度と積雪深をともに過大推定することが示された.今後モデルの改良を行う必要があると思われる.
  • 渡辺 和之
    E-journal GEO
    2016年 11 巻 1 号 344-347
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2016/10/11
    ジャーナル フリー
  • *和田 知之, 知北 和久, 森田 俊一
    日本雪氷学会全国大会講演予稿集
    2005年 2005 巻 A1-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/12
    会議録・要旨集 フリー
  • 知北 和久
    日本水文科学会誌
    2012年 42 巻 3 号 131-146
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    ケッペン= ガイガーの気候区分に拠れば,北海道は亜寒帯域の南限に,アラスカの中~南部は亜寒帯域の北限に位置し,互いに類似した気候条件および河川流出の特徴を持つ。本稿では,両地域にある河川流域での水・土砂の流出に着目し,その流出特性から推測される流送土砂の起源について議論し,タンクモデルによる流出解析を行う。対象とした河川流域は,北海道の佐呂間別川流域(面積277.0 km2)と生花苗川(おいかまないがわ)流域(面積62.0 km2),およびアラスカ・ユーコン河の支流タナナ川の流域(面積6.63 × 104 km2)である。これらの流域では,夏季の降雨,冬季の降雪,春の融雪という水文気候条件は共通するが,流域スケール,土地被覆条件,地質,土壌構造が異なるため,河川の応答特性はかなり異なる。特に,タナナ川流域は相対的に寒冷のため,山岳域に氷河,森林域などに不連続永久凍土帯が存在し,夏季は氷河と凍土の融解による流出が降雨流出と重なって現れる。融雪出水中の河川流量・浮遊物質濃度の1 時間時系列データを用いて流量~浮遊物質濃度間の履歴図を描くと,佐呂間別川とタナナ川では右回りのループ,生花苗川では反時計回りのループを示した。前者はピーク浮遊物質濃度がピーク流量より時間的に先行して現れる現象で,一般的に侵食される土砂が河道起源の場合に多く見られる。生花苗川での反時計回りのループは,降雨出水時に常に現れた。このことから,同流域の森林土壌では雨水の浸透に伴う侵食過程が卓越していることが示唆される。佐呂間別川とタナナ川の日流量時系列に対し,タンクモデルを用いた流出解析を行った。結果として,融雪出水,および
    氷河融解
    流出と降雨流出が重なる出水に対し,ある年で決定されたパラメーターをそのまま用いても二乗平均平方根誤差(RMSE)が観測流量の8 ~17%,Nash-Sutcliffe 効率係数0.45 ~ 0.97 と再現性が高く,このモデルの有効性が示されている。この再現性が高い理由として,タンクモデルでは融解水の積雪内貯留や氷河内貯留が考慮できること,融雪期と
    氷河融解
    期での初期土壌水分や初期氷河内貯留が各年で類似した条件にあることが挙げられる。
  • *平岡 ちひろ
    水文・水資源学会研究発表会要旨集
    2018年 31 巻
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    会議録・要旨集 フリー
    水不足が深刻な中央アジアの人々は周囲の山岳の
    氷河融解
    に依存した生活を強いられている.今後の適切な水利用計画のためにも,より正確な水・熱収支解析が必要である.アラル海の水収支解析を行った峠の研究(峠,2014)によると,陸面過程モデルSiBUCでは高標高域における熱供給量が過大評価されているためか,3,4月の河川流量が実測値より過大に算出される,つまりまるで春が始まった途端
    氷河融解
    が進んでいるかのような解析結果が出ている.本研究では,SiBUCにおける熱供給量の過大評価は気温に起因すると考えた.というのも本解析に用いたデータの一つである再解析データJRA55は解像度が1.25°のため,その値は100kmあまりの格子の代表値に過ぎない.より高い解像度で計算する際は,例えば気温であれば100mごとに0.6℃変化するというように標高依存させ,内挿して算出する.そこで,春の融雪が過大になる背景は,積雪のある高標高域のグリッドの気温を計算するために,積雪のない低標高域のグリッドの実測気温データを用いることにより,積雪域の高標高域の気温を過大に算出しているためという仮説を立て,気温の標高依存性の有効性を確認する実験(①)を行った.実験には当研究室によりキルギスの山岳の2か所で観測したデータを用いた.2か所とは図2に示されている標高3429mの氷河観測地点と標高2571mのベースキャンプを指す.また,このデータと再解析データJRA55を用い,気温のみならず各気象強制力が
    氷河融解
    量に及ぼす影響を調べる感度実験(②)を行った.標高依存による内挿が気温を過大に算出しているという仮説の実証を試みた実験①の結果は,日中の気温についてのみそれが証明できた.一方夜間は予想と反対の結果になった.融解量については本解析では気温以上に放射量の影響の大きさが結果に現れた.実験②の結果は,JRA55における気温や短波・長波放射などの気象強制力が実測データと大きく異なる値を見せ,とりわけ放射の差異が如実に融解量の差に現れていることがわかった.当初は気温にのみ注目していたが,気温以外のずれも水収支解析の正確性に影響していることが判明したことが大きな収穫である.今後は短波・長波放射も考慮して解析を行い,最終的には標高依存の他に最適な内挿法を模索していきたい.
  • 知北 和久, 森田 俊一, 和田 知之, 城戸 大作
    日本水文科学会誌
    2006年 36 巻 2 号 59-69
    発行日: 2006年
    公開日: 2019/01/07
    ジャーナル フリー

    Characteristics of discharge and suspended-sediment load in a subarctic river, Tanana River, Alaska, were examined by observations in the glacier-melt and permafrost-melt seasons (June to September) of 2002 and 2003. The drainage basin (area: 6.48 × 104km2) of the river is occupied by the ca. 96 % permafrost region of the diluvium to alluvium and the ca. 4 % glacier-covered region in the Alaska Range and the Wrangell Mountains. The hydrographs of the Tanana River are explained by the superimposition of rainfall runoffs and baseflow from the permafrost region and glacier-melt runoffs from the glacial region. The suspended-sediment load, meanwhile, varied synchronously with the discharge, but its magnitude nonlinearly responded to the discharge. The nonlinearity of sediment load occurred only under local rainfalls, when the sediment supply from river channels was possibly insufficient. The runoff analyses by a tank model were carried out for the hydrographs of 2002 and 2003. The rainfall onto the whole drainage basin and the meltwater input into the glaciers were estimated by the Thiesen method and the positive degree-day approach (PDDA), respectively. The analytical results, reasonably reproducing the hydrographs, indicated that the glacier-melt runoffs occupy 60 % and 66 % of the total discharge in 2002 and 2003, respectively.

  • 藤田 耕史
    雪氷
    2014年 76 巻 1 号 69-78
    発行日: 2014年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2009年にScience誌の指摘で明らかになった,IPCC第四次報告書におけるヒマラヤの氷河に関する誤った記述は,「ヒマラヤ氷河スキャンダル」もしくは「グレーシャーゲート」などと呼ばれ,その後,他の分野においても信頼性に乏しい記述が次々と明らかになったこともあり,IPCC全体の信頼性を揺るがす一大スキャンダルとなった.その一方で,世界の氷河研究コミュニティがヒマラヤを含むアジア高山域の氷河に目を向けるきっかけにもなり,ここ数年の短期間に数多くの研究成果が発表された.本稿では,このヒマラヤ氷河スキャンダルの経緯と原因,IPCCの対応を振り返ると共に,このスキャンダル以降に発表された論文を概観し,アジア高山域における氷河研究の現状と今後の展望を述べる.
  • —アラスカ·ガルカナ氷河—
    城戸 大作, 知北 和久, 平山 賢太
    日本陸水学会 講演要旨集
    2002年 68 巻
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/06/12
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