安全で安楽な静脈血採血時の肢位について検討するために21〜22歳の健康女子6名を被験者とし,実験材料として,(1)従来から用いられている箱型採血枕,(2)スタンド式採血台,(3)新たな試みである市販の入浴用枕,の3種類の採血枕を用いて,静脈血採血時の上肢の関節角度と身体感覚としての自覚的安楽性を測定する試みを実施した。その結果,肘関節の伸展傾向と自覚的安楽性において,3種類の採血枕の中では,(3)の入浴用枕が最も適切であることが示唆された。しかし,入浴用枕の場合も,肘関節の伸展位を得ることはできず,本研究に用いた3種類の採血枕は,単体のみでは安全で安楽な肢位を支えることが困難であり,肘関節と手関節の2関節部を支持することが,静脈血採血時の安全と安楽につながる等の示唆が得られた。
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