腹膜妊娠は子宮外妊娠中でも極めて希なものに属し, 時に妊娠が相当期間持続する場合があることから, その経過は特異的で且つ母児に与える影響は極めて重大である. 最近著者らは相次いで2例の腹膜妊娠に遭遇した.
症例1は31才未産婦で, 帝王切開術により腹膜妊娠と判明, 2,800gの成熟児を得たが, 3日後に呼吸障害で死亡した. 胎盤は腹腔内に残置し, 現在経過観察中であるが特に自・他覚的障害は認めていない. 症例2は26才未産婦で緊急手術により腹膜妊娠の早期中絶と判明. 病理組織学的に本症を確認した.
2例共にその症状, 経過, 術中並びに術後検索により続発性腹膜妊娠と推定される.
以上極めて希で且つ特異的な経過をとつた腹膜妊娠の2例を報告し, その病態, 経過並びに治療方針について若干の文献的考察をも加え, その大要を述べた
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