フジコナカイガラムシの越冬幼虫が,春に芽に移動寄生するとき,どのような寄生のしかたをするかを,18年生の富有ガキを材料として調査を行なった。
1. 1本の樹について樹全体の枝の調査をしたところ,結果母樹総数206本,総芽数460芽で,これに寄生していた総虫数は489頭であった。
2. 芽および結果母枝単位の分布型をみるとP-E分布によく適合した。
3. 頂芽における寄生率は他の芽にくらべて著しく高かった。
4. 長い結果母枝程1結果母枝当りの虫数は多かったが,特に31cm以上の結果母枝には目立って多い。
5. 総結果母枝数から割り出した一定数の任意抜きとり調査は,単なる1芽あるいは1結果母枝平均虫数では全枝調査と大差なかったが,分布型,芽順別1芽当り虫数,長さ別の1結果母枝当り虫数などで差が出てくる。
6. 時期別に分布型をしらべてみると,全枝調査ではつねにP-E分布を示したが,一定数任意抜きとり調査では,高密度のときと低密度のときで,分布型が異ってくる。
7. 時期別の幼虫生存率は頂芽のものが他の芽のものにくらべて著しく高い。
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