O'型五酸化二リンとα-アルミナとの反応によるリン酸アルミニウムの合成におよぼす両者の混合劇合(R=P
2O
5/Al
2O
3), 加熱温度, 加熱時間および五酸化二リンの吸着水分量の影響について, X線回折, 示差熱分析および熱重量分析法を用いて検討した。
1)本反応において得られるリン酸アルミニウムは, オルトリン酸アルミニウムAlPO
4のberlinite, cristobalite型, リン酸二水素アルミニウムAl(H
2PO
4)
3のC型, 三リン酸二水素アルミニウムAlH
2・P
3O
10の1型, メタリン酸アルミニウムAl(PO
3)
3のA, BおよびE型, 3種の未知化合物であった。2)リン酸アルミニウムの種類およびそれらの生成量は, モル比P
2O
5/Al
2O
3(R), 水分量および加熱温度によって大きく異なった。AlPO
4は, R=1, 300℃以上でよく生成した。すなわちberliniteは水分量が10%以上で生成し, cristobalite型は水分量に無関係に生成した。Al(H
2PO
4)
3のC型は, R=1, 200℃, 水分量が30%以上で生成した。AlH
2P
3O
10のI型は, R≧3,300℃, 水分量が12~30%でよく生成した。Al(PO
3)
3は400℃以上でよく生成した。またBおよびE型はおもに水分量が10%以下で生成し, 一方, A型ぽ水分量に無関係に生成した。3)両者の反応速度は, おもに水分量に支配され, 水分量の増加とともに速くなった。4)両者の反応においては, まず最初に無機高分子化合物であるO'型五酸化二リンが水と反応して加水分解を受け, ボリリン酸となり, それがα-アルミナと反応して種々のリン酸アルミニウムが生成するものと考えられる。
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