カルシウムイオン (Ca
++)
活量
は, 有効Ca
++濃度を示すところの物理化学的な値であり, 溶液中Ca塩の飽和度に直接関与するとされている. そこで, 尿中Ca
++活量
は尿路結石形成にとって重要な要素になりえるものとの考えから, Ca
++選択電極を用いて, 尿中Ca
++活量
の測定を試み, その基礎的検討ならびに臨床での測定結果を報告した. 標準液のCa
++活量
値を Debye-Hückel 式に従い計算し, これによってキャリブレーションを行った.
一連のCaCl
2-NaCl溶液において, 計算によるCa
++活量
値および電極による実測値が, ほぼ一致することを確認した. また, pH (5~8) および温度 (10~40℃) による測定値への影響は認められなかった. 本法による尿中Ca
++活量
測定の再現性は満足すべきものであった. しかし, 尿中Ca
++活量
測定においては, 温度上昇に比例して測定値は上昇し, またアルカリ化によるCa塩の析出によってCa
++活量
は低下した.
対照群44名および結石症例群68名での24時間尿を用いた, 25℃下でのCa
++活量
測定値は, 各々0.201±0.066 (mean±SD) および0.243±0.104mMとなり, 結石群で有意に高値となった. 一方, 尿中Ca
++活量
および総Ca濃度の間には有意な相関性が認められた. Ca
++活量
/総Ca濃度比は, 対照群および結石群の間で差をみなかったが, 塩類尿を呈するものでは有意に低値となった.
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