カナダ西海岸に面した
海洋生態系
は,季節変動にも周年変動にも適応しているようであるが,経年変動(例えばEl Nino現象)や10年単位変動(例えば生態系型変化)のような長期変動によっては質的な変遷が強いられる。これらの
海洋生態系
は著しい海洋開発を受けており,この人為的な活動に対して法律制定による新しい基準が整備されつつある。同様な人為的開発に曝された他のカナダ領海における主要な変化を考慮して,カナダ西海岸における海洋研究の最も重要な使命は,
海洋生態系
構造の特質と生態系安定化機能を認識して,気候的撹乱にも人為的撹乱にも復元できるようにすることである。ここに,カナダ西海岸に面した
海洋生態系
の観測とモデル化とによる比較研究を提案する。この為には,季節変動や周年変動の係わる統計的な研究に拠って,
海洋生態系
を認識したり識別したりすることが要求される。最新モデルでは,気候的・人為的な影響による
海洋生態系
への相互作用と,影響による撹乱からの生態系の復元性とが,時空間を包括して詳細に解析できるようになっている。この様な使命の遂行には,人為的活動による海洋開発や
海洋生態系
変化は撹乱からの復元にとって重要な構成要素であるから,海洋資源管理学や社会科学も加わった海洋科学を構成する専門分野間の密接な共同研究が必要である。
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