PCB,ダイオキシン類等による土壌汚染が重大な環境問題となっているが,これらの物質は土壌との親和性が高いため,効率的な土壌からの脱離除去が重要である.本研究は,土壌に吸着した汚染物質を,シクロデキストリン(CD)の空孔内に特異的に包接し除去する手法の開発を日的としたものである.本報では,CDによる土壌汚染物質の包接脱離に関する基礎的知見を得る日的で,PCB系化合物のモデル物質としてビフェニルを用い,CDによるビフェニルの溶解促進と黒ボク土との吸着平衡,湿式混練法による汚染土壌からのビフェニル包接脱離,CD包接ビフェニルの微生物分解に関する基礎研究を行なった.種々のCDを用いてビフェニルの溶解促進を検討した結果,HP-β-CDを用いた場合が最も高い溶解性を示した.2軸混線機を用いてビフェニル汚染黒ボク土の包接脱離実験を行なったところ,HP-β-CDによる包接脱離が極めて効果的であった.
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