大気中浮遊粒子状物質として存在する自動車のタイヤトレッドゴム粉じんを測定するために,加硫ゴムの分析方法を検討した.加硫ゴムは,約180℃に加熱した
o-ジクロルベンゼンに酸素を吹き込み完全に溶解させた.その結果加硫ゴムを他の捕集成分から分離し濃縮することができた.溶解後のゴムと未処理のゴムの熱分解ガスクロマトグラムが一致することから,パターン中のイソプレンのピークによりNR系ゴム(トラック・バス用タイヤトレッド)を,スチレンのピークによりSBR系ゴム(乗用車用タイヤトレッド)を別々に定量できた.高速道路トンネル入口の大気中よりハイボリュームサンプラーでガラス繊維ろ紙上に採取した粉じんの0.58mgを使用して分析した結果,同一ろ紙の中央付近3箇所の平均で粉じん中NR系ゴムは1.8%,SBR系ゴムは3.3%であった.
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