フルンボイル市エヴェンキ族自治旗輝ソムは, 世帯主の80%以上が草原地帯で放牧を生業としている牧畜民のエヴェンキ族である. 家族は, 草原と市街の2か所で生活している. 草原では, バイシンを建て羊・牛・馬を分配された土地内で放牧をしている.
バイシンの平面分析から, 増築前の部分の空間は客室・キッチン・寝室に分けられ, 入口がすべて北側に設置されている. 客室は南に設置され, 客用寝室と子ども部屋, 食事用に使われている. キッチンは北の入口から近い位置に設置され, 炊事や食事をする空間として使われている. 増築された部分は, キッチンが増築部分へ移動され, 寝室が2つ以上で, 増築部分にも寝室が設置されている. 客室は南の方に設置され, 増築部分には移動してない. 増築された部分の空間はキッチン・寝室・廊下になっている. 増築された部分がさらに北へ増築され, または増築前の部分の東側に増築され, 倉庫と車庫用の空間が設けられている. この地域では, バイシンの増築が南側ではなく, 北側に増築されている.
暖房器具はハンジ, フーチャン, ジョーフ, ノアンチの4種類である. ほぼすべてがフーチャンを設置しており, ハンジは半数を占める. 築年数が新しいほどハンジの設置が少なくなる. ジョーフはハンジやフーチャンに火を入れるために使われていると同時に, 炊事用にも使われている. ハンジやフーチャンが近年のバイシンに設置されず, 代わりにノアンチが設置されている.
抄録全体を表示